福島県教育センター所報ふくしま No.74(S60/1985.12) -035/038page
第3次 アリに変身して自由に遊ぶ。(1時間)
−女王アリのお部屋で−(3)実際の授業
- 感受段階での児童の声
ア「うわぁ,広いテントだなぁ。早くやりたい。」
イ「ぼくたちのお部屋は,どこかなぁ。」
ウ「すごいなぁ,いっぱいできるぞ。」
(プレールームの広さが8m×24m,そのうち,テントをはった部分が,7m×20mである。)
- 発想,構想段階
全員はだしになって「おつかいありさん」の曲にのり,テントの下を自由に歩いた。音楽が終わるまでに,色別に描いたアリの家を見つけた。子供たちは,喜んで転げ回ったり,スキップしたり,寝ころんだりして自分の場所を確認した。- 表現活動
ア A児の活動 − ボタンの穴に糸を通し結んで輪を作り,テントにぶら下げた。ボタンも大小組み合わせ,間にストローを通し,きれいに工夫して飾りつけていた。
イ B児の活動 − カップや空きビンの高さを考えて並べていた。パックの中にビンのふたを重ねて「女王アリの食事だ。」と言っていた。
材料がなくなるまで並べ,下が終わるとナイロンひもで包装紙をまるめてテントに下げた。友達と協力してよくやっていた。
ウ C児の活動 − 並べてある段ボールにスッポり入ってみたり,卵のパックにパンチしてみたりして,しばらくテントの下で遊んでいた。
小さな箱やボタン,きれいな小石を積んでいた。後半は,落ち着いてよく活動できた。- 鑑賞段階(遊び)
アリの洋服を着て,穴にもぐったり,友達と出会った所でじゃんけんをしたりして自由に遊んだ。
中には,役割分担を決めて劇遊びをするグループや迷路を長くするために,となりのグループと部屋をつなぐほほえましい姿も見られた。- 反省,後始末の段階
<グループで作った部屋>
1班 女王アリのお部屋 2班 アリのレストラン 3班 アリの卵のお部屋 4班 アリの相談室 5班 アリの放送室 6班 アリの研究所
−全体の反省−
反省の中での児童の声,
ア「材料がもっとほしい。」
イ「時間が足りない。もっと遊びたかった。」(4)成果
- 個の遊び − 2人組の遊び − 小集団の仲間での遊び − 学級全体としての遊び − と大きく広げていっても何の抵抗もなく遊ぶことができた。
- 児童にとって魅力のある楽しい遊びは,すばらしいアイディアや発想が生まれるし,次々と創造が深まり,積極的な活動ができた。
- 総合的な造形遊びを試みたことによって,全身を使った真の楽しさを味わうことができた。
- 遊びを通して,その過程の大切さ,仲間意識の高まりに気づくことができた。
4.アイディアを生かす
子供たちの周囲には,たくさんの材料がいろいろな形で,さまざまな色をしてころげまわっている。子供の遊びを掘り起こし,ちょっとした教材の開発と精選から大きな収穫を得ることができた。
これからは,恵まれた自然と環境を生かして,より楽しい造形遊びを試みていきたい。そして,1時間1時間の授業を大切にし,アイディアを生かし児童の活動を広げていきたい。