福島県教育センター所報ふくしま No.77(S61/1986.8) -019/038page

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 これから学習しようとする事柄に関連しての情報収集,調査・集計,グラフの作成,予習・復習などの生徒自身による活動の促進を事前指導として行っている。個人やグループによる活動があるが,この活動は授業に対する導入であり,動機づけであるととらえている。内容は授業のときに決まることもあるが,短学活を利用して,生徒同士の話し合いで決まることが多い。活動は昼休みや放課後を利用して資料室で行われるが,校外に出て収集活動をする場合もある。事前指導をしっかり行った授業は生徒の関心も高く,活動も活発である。

3 事後指導の充実
 進路選択を人の一生という長い目で見ると,希望実現までの筋道は一通りでなく,考え方にも様々あることに気づく。進路選択は様々な進路について知り,自分に最もふさわしい進路を選ぶということでもある。このため,授業では共通課題について全体討議し,知識を広め意欲を育てる活動をする。この活動の中でも個別指導が行われることになるが十分な指導となりにくい。進路指導は個別指導にはじまり個別指導に終わるといわれるように,自分の問題として進路を考えなければその効果は期待できない。授業における共通課題を自己の課題として受けとめその解決のための活動を開始する。この時間が事後指導である。 事前指導,事後指導の時間の位置づけは,下に示す通りである。

学習指導・事前指導・事後指導の時間

4. 学習指導案の改善

〔主な改善点〕
ア 題材ごとに「進路選択能力とのかかわり」の項をおき,進路選択能力を高めるという主題にせまるために,どんな役割を持つかを明らかにした。
イ 事前・事後指導を学習指導案の中に位置づけた。
ウ 授業の段階は,生徒の意識の変化を表現するものとして「気づかせる」「考えさせる」「意欲づける」とした。
エ 指導上の留意点の欄には,生徒の自主活動をすすめるための手だて,生徒の活動と資料とのかかわり,進路選択能力の評価に関することを記入することとした。

〔学習指導案の例〕

指導過程
段階 学習内容・指導 時間 学習のてだて 資料・評価
気づかせる 1. 調査結果を知らせ仲間分けの方法について気づかせる
 (l)「身近に感じる職業」についての発表を聞く
 (2)感想を発表する
 (3)仲間分けの方法を考える
 (4)仲間分けの例を発表する
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○職業名の羅列にとどまらず、身近な職業として多かった順の発表や、川俣町の職業別人口の資料を使って関心を高めたい
○どんな方法でもよいことを確認させておく
考えさせる 2. 職業を分類するための観点を話し合わせる
 (1)グループ毎に観点を話しあう
   ○働く場所    ○働く年齢
   ○働く時間    ○資格・免許 
   ○服装の違い  ○性別
   ○相手の違い  ○仕事の変化
 (2)話し合いの結果を発表する
3. 2で話し合った観点をもとに職業を分類させる
 (1)班毎に観点を分担し、身近な職業を分類する



 (2)分類した結果を黒板を使って発表する

 (3)分類の結果を見て、意見や感想を発表する
33 自由に話し合いができたか

 
   
 
     
    
○話し合いの結果がかたよった場合にはテキストを参考にする

職業についての知識が不十分であるため,分類のしかたをまちがえることも考えられるので正しくアドバイスする
できるだけ多くの職業をあげて分類させる
○グループ毎に発表用のカードを準備しておく
○全体の発表が残るよう工夫する
職業の多様性にきづいたか
意欲づける 4.自分の希望する職業について考えさせる
 (1)自分の希望する職業について観点別にまとめる


5.次時の予告を知らせる
 (1)いくつかの職業について仕事の内容をより具体的に調べること
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○未定の生徒には教師の指示した職業についてまとめさせる
自分の希望する職業についての関心が高まったか

○ひとつの職業を例にとり、上の分類のしかたで十分かどうか問いかける
事後指導・発展 1.ワークシートを見て、理解の不十分な生徒には個別指導をする

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