福島県教育センター所報ふくしま No.77(S61/1986.8) -021/038page
個人研究 魅力ある社会科の授業を目指して
−観点別到達目標分析・評価計画と地域の資料の教材化−船引町立移小学校教諭 鈴木 則雄
1 はじめに
昭和59年度は,「観点到達目標分析をもとに,自己たしかめの能力を伸ばす」ことをねらいとして第3学年社会科「葉たばこ作り」の単元を設定して実践した。60年度は,いわばこの流れを継続し改善しながら研究したと言う形である。研究単元は,第4学年社会科の「安全な生活」の中の「火事を防ぐ」である。
実践研究の軸は,「観点別到達目標分析と評価計画」と「意欲的に学び取らせるための地域の資料の教材化」の2点と「自己たしかめ」の導入である。
2 主題設定の趣旨
ある単元で子どもたちに「何を」「どこまで」到達させるかを観点別に明確にしておくことはどの様な学習においても重要である。そこで,「観点別到達目標分析」をし,マトリックス表を作成し,その目標の明確化を図ろうと考えた。
次に,目標分析によって目標が明確になればある観点の目標をどこでおさえるか,どのようにして評価していくかが問題となる。そこで,指導計画に基づいて評価計画を立て,その一体化を図ろうと考えたのである。 さらに,授業自体が子どもたちにとって魅力あるものでなければならず,目標に迫るために必要な地域の資格の教材化を試み生かしていこうとした。
また,子ども達は,「学習させられている」「評価されている」という意識が強いし,私自身少なからずそういう意識はあった。そこから少しでも脱却しようという立場から,自己たしかめを取り入れ,自分なりのめあてを持たせて毎時の終末に自己たしかめをさせるという構想を練った。
以上の様な趣旨のもとに本主題を設定した。
3 研究の概要
(1)研究の手順
○観点別到達目標分析一社会科の目標から単元までを系統的に
○評価計画表の作成 一目標分析をもとに
○指導計画立案 一移地区から町へ
○地域教材を生かし, 一地域の資料の教材化と取材活動
魅力ある授業を展開
○自己たしかめの方法と導入の研究 ノート作りを中心に
○授業の実践
○評価
○考察
(2)概要
1 観点別到達目標分析
(8)小単元「火事を防ぐ」の「観点別到達目標」 観点 到 達 目 標 知識・理解 (1)移小の消化設備の種類が言える−1
・消火栓・火災報知機・消火器・熱警報器など
(2)職員は、防火活動を組織的・計画的にしていることが指摘できる−2
・防災計画の立案・週番活動・安全点検の日の設置
(3)消化設備の名称がいえる−3
・防火水そう・防火用せき・屯所・火のみやぐら
(4)船引町でおきた火事の原因が言える−4
(5)消防署内の設備と役割が説明できる−5
・アンテナ・車庫・司令室・仮眠室
(6)消防署と警察署、消防団との協力体制について言える−6
(7)消防署の普段の活動について言える−7
・消化設備の点検・訓練・広報活動など
(8)消防団の活動がいえる−8
能 力 観察 (1)学校や学区内の消化設備を観察し、保全への対処に気づくことができる−9
(2)消防署内のVTRを観察し、聞き取りとあわせて安全を守るしくみや組織的活動に気づくことができる−10表現 (1)VTRを見て、要点を箇条書きに整理することができる−11
(2)消防のしくみなどを図で表すことができる−12
(3)組織的・計画的に行われている活動の意味を説明できる−13
資料活用 (1)棒グラフ、火事の原因の複合グラフなどが読み取れる−14
(2)学習のまとめ、話し合いのまとめを作文や手紙に自分の考えでまとめることができる−15
(3)VTRを見て、消化設備やその役割が読み取れる−16
地図 (1)学校内の見取り図に消化設備を記入できる−17
(2)学校区内の地図を見て、消化設備がどこにあるか言える−18
社会的思考判断 (1)観察や聞き取りや資料で考え、地域の人々の安全な生活が地域の人々や地域社会相互の協力体制によって維持されていることが判断できる−19
・学校の防災計画・地域の消化設置者
・消防署と他の機関の協力
社会的事象に対する関心・態度 (1)学校内や学校区内、消防署内の消化設備に関心を持ち熱心に調べることができる−20
(2)VTRを熱心に観察し、メモができる−21
(3)地域の一員として、日頃から防火に心がけようとする考えがもてる−22
「火事を防ぐ」では,何を身につけさせたいのかということを明確にしておかなければならない。社会科の目標から筋道を立