福島県教育センター所報ふくしま No.77(S61/1986.8) -026/038page
アイディア紹介 楽しさを求めるリレー指導
会津若松市立城西小学校教諭 天野 正雄
1.はじめに
高学年におけるリレーは競争的スポーツであり,他人との競争,記録への挑戦としての楽しさ,喜びがある。「力いっぱいやれた。」・「記録が伸びた。」・「勝った。」という結果は,記録の変容や自分の能力に関心を持たせると同時に大きな喜びとなる。これまでの指導は訓練的な繰り返しの練習になりがちで楽しさを阻害し走りの遅い子に意欲をなくさせてしまっていたように思う。このようなことから.楽しく取り組むリレー指導を工夫することによって,自らが自分の走の特徴や向上のための練習の仕方を知るとともに,意欲的に練習に打ちこむようにさせるならば体力向上も図れるものと信じながら,実践を試みていることを述べることにする。
2 実践
(1)単元展開
1 個人記録をとりチームづくりをする。
2 初めのリレーと学習計画をたてる。
3 ねらいに向ってのリレー練習をする。
4 リレー大会をする。
(2)1単位時間
1 ねらいをおさえて,めあてを確認する。
2 ためしのリレーをする。
3 めあてにそって練習する。
4 たしかめのリレーをする。
5 反省し,次時のめあてをたてる。 子どもが楽しく取り組むために指導の基本型をパターン化することによって,自主的な活動を見ることができ,指示が少なくなり個別指導の時間を多くとることができるようになった。
(3)めあてづくりの道筋の方法と実践
1 単元のねらいを設定する。
ア 到達のねらいをおさえる。
イ 授業様相の高まりの最終的な姿として総合的なとらえ方をする。
2 中心となるねらいを設定する。
ア ねらいを子どもに具体化して与える。
イ 原則的に,教師から子どもに与える。
ウ 単元を通じて一貫して子どもの意識の中に流れるよう運動の特性をふまえる。
3 学習のめあてを設定する。
ア 学習内容,子どもの学習意識,両者を結びつける学習のめあて意識を高める。
イ 単位時間ごとの学習のめあてを,子どもとともに計画し,次時に発展させる。
ウ ねらいに向かって学習を進めるとき,問題点やつまづきが生じたものをチームや個人のめあてとして具体的にする。子ども自ら発見させるように仕向ける。
上記の道筋をたどると下記の様子が見られる。
○ めあてを発見しようとする姿が見られる。
○ 学習の見通しを持つことができる。
○ 自分達の力で練習を繰り返し,協力し合う。
○ めあての達成や残された問題発見ができる。
(2)めあて達成の進歩の度合がわかる指導方法
前記のめあてを解決していくなかで,自分たちのチームの進歩の度合をわかりやすくするために,5秒間走や10秒間走リレーの指導,学習カードの活用をする。
1. 5秒間走
10秒間走リレーとの関連から,5秒間で何m走ることができるかという目標に挑戦し,走る距離を伸ばすための練習に取り組み走力を高めさせる。
2 . 10秒間走リレー
2人ずつのバトンパスの組をつくり,2人の5秒間走の距離を加算した距離を標準として,2人が途中でバトンパスをして,10秒間に何m走ることができるかを測定し,リレーをすることにより,標準記録より何m距離を伸ばせたか競うもので,スピードにのったバトンパスを,2人の距離の伸びに置き換える。