福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -005/038page

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<発表例1>
A: Excuse me, but will you please tell me the way to the station?
B: All right. Go straight along this street.
Turn right at the second corner.
Go straight and cross the bridge.
Go straight and turn right at the first corner.
A: Thank you very much.
B: You're welcome.

 発表例1は,まだたどたどしい表現かもしれない。しかし,自分たちの使える言葉で詳しく道を教えようとしている気持ちが感じられると思う。

<発表例2>
A: Excuse me, but will you please tell me the way to the post office?
B: All right.
Go straight along this street.
Turn left at the next traffic signal.
You'll find the post office on your left.
A: Is it very far?     (〜from here)
B: No, it isn't. It's two kilometers.    (only two 〜)
A: I see. Thank you very much.
B:You're welcome.           ※( )は事後指導

 発表例2は,内容に少し厚味を加えた例である。全ペアにこのようなことを期待することは難しい。
 今回の授業は,2時間扱いとした。三年生の後半という時期,実態から1時間教材として扱った場合には,目標である「道案内ができる」が十分達成できないと判断したからである。この実践によって,生徒は3年生になっても「英語を話したい」という希望を持っていることが明らかになったように思われる。

4.「かこみ教材」の指導にあたって
 これらの教材の持つねらいを十分達成するためには,学習したことを実際に使用させる場を設定することが大切である。この場合,次のような点に留意して指導にあたることが必要である。
(1)既習事項の活用を考えさせ,対話の内容を厚みのあるものにさせる。
(2)具体的な場面を工夫することにより,生徒にコミュニケーションの必要性を感じさせる。
(3)未習の語・語句を与える時は,精選し生徒が負担を感じないようにする。
(4)「聞く」活動を十分行い,表現に対する抵抗を少なくする。
(5)視聴覚機器の利用により,現実感を与える。

5.おわりに
 生徒が生き生きと目を輝かして授業に参加するのには,いくつかの条件が考えられる。
 その第1は,教材の良し悪しであろう。今回取り上げた「かこみ教材」は,学習のねらいが生徒にもとらえやすく,身近な場面であるということから,生徒たちの「聞く・話す」という表現活動を高めるのに適切な教材であったと思われる。週3時間という制限された時数の中で発展的に授業を展開していくことには抵抗感もあるが,時間を十分確保して実践していくならば価値の高い教材と思われる。
 第2には.指導者自らが教材の精選や重点化を図っていく必要があろう。そのためには,年間指導計画の構成を十分に検討して創意・工夫を図っていくことが大切である。いわゆる「聞く・話す」「読む」「書く」という4技能のどれをねらったかがはっきりしている教材においては,明確な達成目標を位置づけることが重要である。
 特にこの実践を通して感じたことは,生徒が進んで取り組み,発表し,活動していく場を設定していくことの大切さである。今後さらに工夫を重ね,大切に取り扱っていきたいと考えている。

<参考文献>
○伝達重視の英語教育     青木昭六・田中正道編
○英語授業の改造              河野守夫著
○英習者中心の英語教育    羽鳥博愛・松畑X一著
○新しい英語科授業の創造        斎藤栄二他著
○子どもが英語につまずくとき      天満美智子著
○心理言語学と英語教育          羽鳥博愛著
           

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