福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -010/038page

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教育相談
紙上学校カウンセラー講座

教育相談へのいざない(3)


−発達期の心理−

教育相談部   畠 腹 桂 子  小 林 淑 人

1 教育相談を進めるためには,「発達期の心理」をなぜ知ななければならないのだろうか.

  人間の体や心が成長・発達する過程には,ある規則性がみられる。たとえば.歩行に至る過程をみても,一般的には,はいはい→つかまり立ち→歩く,という順序を経る。このようなことは,心理面の発達においても同じことがいえる。
  すなわち.子どもの成長・発達の過程においては,その時期特有の心理(発達期の心理)がある。この心理を知ることによって子どもの一般的な姿をふまえて,その子どもの過去や現在を正しく理解し,さらに未来の姿をも考えることができる。

(1)発達期の心理を理解していないと,適切な指導,援助ができない場合がある。

  たとえば,小学4年生の例

机に座った男児と女児の絵     担任の教師は,この2人の机を付けてならばせ,仲よくすわらせたいと思っている。

  〔指導1〕机を付けてならばせることだけを指示する
   ・「先生の言うことを聞きなさい〃」
   ・「机を付けなさい〃」
   ・「まったくしょうがない子だ〃」

  〔指導2〕この時期の子どもに当然みられる「異性への関心と男女の対立」の心理であると理解し,指導する。
   ・無理に付けさせない。
   ・グループ学習や作業学習のなかで,ごく自然に,さりげなく付けさせる。


  指導1のような強制は,先生との信頼関係や望ましい異性関係の発達を阻むことが予想される。 そのため,指導2のような対応の仕方が望ましい。




(2)一般的に発達の過程に問題があると,その後いろいろな問題を生じることがある。

  特に.問題行動を持つ子どもへの指導・援助にあたっては,発達期の心理を重視して考え,その時期における子どもの心理を十分理解して指導にあたることが大切である。また,乳児期にさかのぼって心理的発達の過程をとらえることは問題をときほぐす上で不可欠であり,しばしば重要な鍵となることがある

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