福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -012/038page
子どもは様々な発達を遂げるのであるが,その多様さのなかにも多くの児童に共通な発達の型.すなわち,一般的な発達原理がみられる。
(1)発達は一定の型に従う。
(2)発達には順序性がある。
(3)発達は一般的な反応から特殊な反応へ進む。
(4)発達は連続的である。
発達は連続的であるため,一時期に起こったことが次の時期に影響する場合がある。一度,幼児期に好ましくない態度や対人関係が形成されると,後の生活面に望ましくない影響を及ぼすことがある。
(5)発達には個人差がある。
一定の発達段階では比較的共通した特徴をもつものであるが,また個人の間には発達の程度や速度に差がある。
(6)発達は異なった速度で進む。
ある方面の成長は早いが他の面の成長は遅いというように,身体的および精神的発達の諸相は,それぞれ独自の速度をもち,成熟へ達する時期を異にする。
(7)発達は相互に関連して進む
心身のすべての領域は,相互に密接し,関連しあって発達する。
※発達段階 発達の連続的過程を,その特徴を手がかりに,いくつかの段階に区分したもの。
※発達課題 人間の成長段階のそれぞれの時期にあらわれる達成すべき課題
3.問題行動を事例を通して発達期の心理からみてみよう。
「不登校の小学校3年女子」の事例
(1)概要
小学校3年生の5月,連休明け頭痛や腹痛を訴え遅刻が多くなった。母親は,心配のあまり医師の診断を受けさせたが身体的に異状がないと判った。しかし.本人は,その後も登校時に身体症状を訴えついには登校できなくなった。
(2)資料
<乳幼児期>
○近所の子どもとも遊ばない。
○幼稚園への入園当初,泣きながら母を伴った登園が約1か月続く。
○園生活では,友達が少なく遊びに消極的,教師にまつわりつくことが多い。
<小学校>
○入学当初,母と一緒の登校が見られる。
○遊び時間は室内遊びがほとんど,友達も限られている。
○担任から言われた学習はきちんとこなす。
○担任からは「素直ないい子」との評価。
○家庭では母親の指示を受けての行動が多い。
○友達の家に遊びに出かけることは少ない。
○3年時,クラス替えにより担任が変わり,友達もなく一人ぼっちとなる。
(3)分析
<乳幼児期の問題点>
○母子分離が果たせなかった。
○一人遊びが少なかった。
○協同遊びが少なかった。
○第一反抗期がなかった。
<児童期の問題点>
○集団遊びが少なかった。