福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -018/038page

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教育目標具現のための循環過程が円滑に働いていないのではないかと思われる。
(2)研究の視点
 本研究の方向牲を明確にし,3年間にわたる研究を意図的・計画的に進めるため,次の四つの研究の視点を設定し研究を進めた。
・教育目標の主体性   ・教育目標の地域性
・教育目標の構造性   ・教育目標の循環性
 1 教育目標の主体性
 教育目標がすべての教育活動の中で達成されるためには,全教師が教育目標設定に参画することの意味を十分に理解し,自発的意志をもって共同で思考しながら共通理解を図り,教育目標を学校の主体牲に立つ目標として設定しているかどうかを研究の視点として追究する。
 2 教育目標の地域性
 教育目標を学校として独自性のある生き生きとした目標にするためには,現実の児童生徒の姿とその児童生徒をとり巻く学校,家庭,地域社会などの環境の実態を統合的にとらえ,そこに現実の学校の課題と未来への期待を織りこんだ目標として設定しているか,どうかを研究の視点として追究する。
 3 教育目標の構造性
 教育目標が教育活動の指標として真に生きて働くためには,各教科・道徳及び特別活動のそれぞれの領域における目標との関連を十分に図り,教育目標具現のための明確な実践方向が打ち出されなければならない。 それぞれの領域の目標への具体化及び学年・学級目標への具体化,さらには,授業実践への具体化の道すじを構造的に明らかにしているか,どうかを研究の視点として追究する。
 特に,この「構造性」に焦点をあて研究を進める。
 4 教育目標の循環性
 教育目標が学校経営のサイクルの中で円滑に機能するためには,教育目標の設定から達成までの過程が,P−D−Sの循環過程をふまえて設定されていなければならない。
 教育目標の具現の実態を適切に把握し,より具体的な方策を立てて実践するために教育目標の循環過程を吟味し,検討しているか,どうかを研究の視点として研究をすすめる。
 (3)教育目標具現のための具体計画例の作成
 これまでとらえた県内小・中・高等学校の教育目標具現に関する調査の結果を基に,具現化の各段階,各領域等の具体計画例の作成に着手した。
 まず,第2年次にあたる昭和60年度には,小学校,第3年次にあたる今年度は中学校を研究対象とし,県内21校の研究協力校を選定し,研究の内容を絞って実践資料の収集を依頼した。研究の内容を絞ったのは,重複を避けるためであり,より具体的なものにするものであるとともに,各学校において活用しやすくするためである。その内容(事例項目)は次のとおりである。
 <小学校> 
 教育目標の検討の例
 教育目標を学年・学級の目標に関連づけた例
 各教科の目標に関連づけた例
 道徳の目標に関連づけた例
 学校行事の目標に関連づけた例
 教育目標の理解を深める手だての例
 校内研修活動の内容に関連づけた例  など
 <中学校>
 教育目標設定までの検討過程の例
 学年・学級目標,学級の諸活動におろした例
 教科の指導内容に関連づけた例
 学級活動に関連づけた例
 生徒指導計画に関連づけた例
 特別活動の指導内容に関連づけた例
 教育目標の達成度評価の例
 なお,基本計画例は,問題点を明確にし,改善への基本的な考え方を示した上で,それに基づく実践例を紹介することにしている。

4 おわりに
 この研究は,本年度末に研究紀要にまとめ各校に配布する予定であるので活用していただければ幸いである。

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