福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -019/038page

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研修者の感想

学校カウンセラー講座(初級)に出席して

福島市立湯野小学校教諭  横江 章子



 学校力ウンセラー講座に出席したいという思いは,ずっと前から抱いていたのですが,学校やクラスの子どもと一時でも離れることを思うとなかなかふんぎりがつきませんでした。でも昨年から特殊学級を担任し,生徒指導,教育相談,諸検査の実務にあたり,これでいいのだろうかという不安をぬぐい去ることができず,今年度のカウンセラ一講座を是非受講し少しでも自分のものとして学びたい,役立てたいと心から希望しました。
 運よく希望がかない,講座要項に目を通した時嬉しさでいっぱいでした。幸い同僚の先生は,障害児に対しての理解が深く,留守を心よく引き受けて下さったので,心おきなく出席することができました。センターでは,先生方と数日間,起居を共にしての研修ですから,学校側の配慮や同僚の協力なくしてとうてい出席できません。「子どもは心配するな。しっかり勉強してこい。」この力強い,温かい言葉こそ,何よりの励みでした。
 カウンセラー講座(初級)とは,どのような内容か,今後受講される先生方の参考になればと,感想を交えて,簡単に述べさせていただきます。

第1日 >「学校教育相談の進め方」
 金房小学校長 海野先生の講義(理知的なまなざし,情熱あふれる言葉):学校教育の中で大切なことは「子どもの誰もが学びたいと思っている。」ということであり,それを育て伸ばしていくのが,教師である。教師と子どもの信頼関係なくしては,学習指導も生徒指導も,絶対成立しない。我々は,いつも胸に問いかける必要がある―この子らに信頼されてる教師であるか,ということを!!―
第2日 >「感受性訓練―エゴグラムを通して―」
 感受性訓練とは,子供の発するサインを正しく理解するために必要な訓練のことである。カウンセラーもすべての表情などから,相手の感情や表現しようとすることを敏感に察知する能力を,持たなければならない。演習では,エゴグラム・チェックリストで自己の自我状態を分析したが,一目瞭然。結果はNPが高い状態(思いやりが深い,ややもすると干渉しすぎる傾向)が表れ,自己反省に役立ちました。初めての経験でしたが,大変参考になりますので先生方も,エゴグラム・チェックリストを活用されてはいかがでしょうか。
「発達期の心理」 福医大  星野先生の講義
:医師の立場から,いくつかの事例を参考に,具体的な解説がありました。印象に残る言葉は,「現在の家族構成の中での母親の役割が,児童の発達期の心理に及ぼす影響は大である。特に過干渉・過保護な母親の増加と心理的発達の未熟な母親が多い。」ということでした。子どもの指導もさることながら,母親を含めた家族指導の大切さを改めて痛感した訳です。
第3日 >「検査の処理とテストバッテリー」
 子ども理解の方法と内容をテキストにより講義を受け,更に,心理的次元や社会的次元を掘り起こし,調査し観察したことが問題行動とどう結びつくのか,また性格検査の1つ「YG性格検査」を演習しながら,性格特性について考察してみました。児童理解に生かしたい演習内容でした。
第4日 >「問題行動の気づきと対処のし方」
 県立盲学校教頭鴫原先生の講義(本質をつきユーモアに満ちた話術):子どもの問題行動の原因は,乳幼児期に問題があるのでは?また誘因となる直接動機はいったい何なのか,問題行動の発生を理解する手がかりを,素早くキャッチし正しく対処する術を教師は身につけるべしと痛感!!
 紙面に詳しく書けず本当に残念ですが児童生徒理解のために,すべての先生方がこの講座を是非受講されることを勧めます。子どもを見つめる目を変える,すばらしい講座です。
 充実した研修が出来たことを改めて感謝しお礼を申し上げます。

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