福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -024/038page
イ 教育目標に対する児童の自己評価
(上段は7月の事前調査,下段は11月の調査結果)<図8>
≪考察≫ 児童の教育目標についての自己評価を見ると,到達度の個々の評価項目では.表4の例のように,向上しているもの,下降しているものが相なかばして一概に結論は出せないが,集計結果の図8で見ると.全般的には,向上していると考えられる。7月の調査で悪い,「よく考えて学習する」(1のまる2)や「よくなろうとくふうする」(1のまる3)は向上のきざしが見えてきたし,「親切にしたり協力する」(2のまる2)「健康安全に気をつけ生活する」(4のまる2)は,更に自己評価が高まった。
これに対して,下降したものは,「きまりを守る」(1のまる1,4のまる1)事項である。これらの「きまりを守る。」落ち込みについては,生徒指導委員会で,たびたび話題に上りそれが,学年会や職員打合せを通して,児童に伝えられ,児童の価値基準が高まった結果児童の生活実態はよくなったにもかかわらず自己評価はさがったと思われる。
5. 研究の成果と今後の課題
(1)研究の成果
短期間の研究であるので,結論づけることはできないが,職員および児童の調査結果から見て,この研究により,教育目標に対する意識の変化と,生活の変容が見られた。
そのいくつかを列記してみると
1 職員の教育目標の意義についての意識が明確になってきた。
2 教育目標と授業の関連,生徒指導や月,週の努力事項との関連,学校行事等との関連を考えるようになってきた。
3 教育目標と,学年・学級目標との関連について,深く考えるようになってきた。
4 教育目標の到達度項目について,校内組織を通じて指摘した事項や指導を要請した事項は,児童の生活の向上が見られた。
(2)今後の課題
1 教育目標の見直し
この研究を進めていくにつれて,教育目標の設定過程やその具体化の重要性を痛感した。年度末における次年度の諸計画策定の機会に実態把握に努め,課題を洗い出し,それを学年・学級と教科等に具体的に浸透させる方策を全職員で進める必要がある。
2 評価のしかたの見直し
今までは評価の実施時期の位置づけが明確でなく,学期末が主であった。今回の研究を通じて,細かいステップのそしてより具体的な事項の評価の重要性を強く感じた。きめ細かい評価に基づいて,次年度の計画を設定する必要がある。
<参考文献>
・教育福島 福島県教育委員会
・所報ふくしま 福島県教育センター
・学校経営改善に関する研究 福島県教育センター
・教育課程編成の手引き 福島県教育委員会
・学校教育目標の具現化 明治図書