福島県教育センター所報ふくしま No.79(S61/1986.12) -012/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

T なにか不安なことでもあるの?
C …‥・・(沈 黙)・・…‥ (5)
C いじめる連中とケンカしたからおもしろくないし,先生もよくわかってくれないから……。
T う−ん。いじめられる…。(※5)
C 学校のみんなから手紙が来て・‥‥・あいつらもよこしたけど,口から出まかせだろうし…。
5.沈黙
 音声的には空白ですが.心の中では動きのある場面(ことばを探している,カウンセラーのことばを味わっている,告白してホッとしているなど)です。ここでは待つことが原則です。
T 心から信用できなくて許せないんだね。(※6)
C ええ,そうです。
※6明確化
 本人がうすうす気付いていることを,カウンセラーが先取りして言語化し,意識化させることです。
   資料の収集
(先のいじめの話から,友人や先生,家族について聴取しました。その中で,友達の視線が気になることとか本人の家族に対する見方,考え方が明らかになりました。)
T ところで,さっき,寝つかれないとか人の視線が気になるとか言ったけど,その他,気になることは?(6)
C 馬鹿らしいんですけど,よく手を洗います。きれいになったと自分で納得するまで洗わないと気になります。
T う−ん。そういうことは,いつごろから?
C 高2のころからです。そのころは,風呂に1時間半以上も入ってました。
T 1時間半も・・・…。なにしてたの?
C 洗いおけをきれいに洗ったり,身体を何回も洗ったりしてました。
T そう,それで.今は?
C そういうことはしなくなりましたが,人が触れたものは気になって…・‥。
(この後,心理検査を実施しました。)(7)
         <中略>
6.カウンセラーとして必要な態度
 カウンセラーの態度として,受容的,共感的な姿勢が必要であることは,既に述べてきたとおりです。この他に,「客観的な態度」や「自己一致した態度」などが必要です。
 <客観的な態度>
 クライエントを受容しながらも,常に冷静に判断する態度が要求されます。この事例でも.寝つきとか視線とかから,神経症的な強迫行為の有無を確かめようとフイードバックしています。
 <自己一致した態度>
 例えば,面接中に相手に対する批判的な気持ちがわいてきた時に,それを抑制して見かけだけ受容するのではなく,批判的な自分を受容しながら相手の話を聴く態度のことです。

7心理検査については.次号で詳しくふれます。

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。