福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -002/038page

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小学校教材研究(算数)

自ら学ぶ力を育てる授業を求めて

学習指導部  村 上 幸 男


1 はじめに
 「先生ね,授業は,はじめの3分できまるよ」これは,新しく教員として採用されたある日,教頭先生に指導していただいた内容の一部である。子ども一人一人が授業にくいついていくかどうかは,導入の段階にかかっているということである。
 さて,最近,子どもの無気力化がすすんでいると言われている。勉強にも遊びにも興味を失った子どもが増えてきているという。たしかに,言われたことしかやらず,遊ぶのも面倒くさがっている子どもが見られるようになってきた。
 授業でも,教師の指示を待ち,自ら進んで学ぼうとしない子どもが多くなってきた。したがって,授業をするにあたっては,導入段階でいかにして子どもに意欲をもたせ学習を展開させていくかの創意工夫が非常に大切になってくる。
 教育課程審議会の「教育課程の基準の改善に関する基本方針について(中間まとめ)」(昭和61年10月20日)によると改善のねらいの一つとして「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視すること」をあげている。すなわち,自ら学ぶ意欲を高め,主体的な学習の仕方を身に付けさせて,思考力,判断力,表現力などの能力を育成するところに改善のねらいがある。
 本来,学習は自分でするものであり,学習の主体は子どもである。自ら学ぶ力を失いつつある子どもをいかに学習の主体者として授業に取り組ませ,自ら学ぶ力を育成していくか.自ら学ぶ授業にどう変えていくかが大切である。以上のような考えから,自ら学ぶ力を育てる授業のあり方を,指導過程の工夫,課題意識を高める工夫,課題追究のさせ方の工夫などの点から考えたい。

2 『自ら学ぶ力』と「自ら学ぶ意欲」・「学習の仕方」について
 自ら学ぶ力を育てるには,子どもが問題を自己の課題として受けとめ,まず「やる」という意欲がなくてはならない。意欲を持って課題に取り組み自力解決した成就感をバネに.さらによりよい解決方法を共に追究する過程で算数の美しさや有用性にふれさせていくことによって感動を覚え,新たな課題にチャレンジする力となってくる。子どもは,意欲的に課題こ挑み,課題追究から新たな課題の意識へと学習する過程で,見方,考え方,学習の仕方を自ら学び,この経験を積み重ねることにより,自ら学ぶ力が育つものである。
 自ら学ぶ力と「自ら学ぶ意欲」,「学習の仕方」について関係を図示すると次のようになる。
『自ら学ぶ力』と「自ら学ぶ意欲」・「学習の仕方」の関係図

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