福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -004/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

のであるか。
○ 多様な解決方法ができ,子どもの新しい思考体制を生み出すものであるか。
○ 本時のねらいを達成するために必要な学習活動をよびおこすものであるか。
2 課題設定の場を設ける。
 図形などで,新しい抽象的な概念を理解させるとき,子どもに課題意識を持たせ,授業に取り組ませていくことは難しい場合が多い。問題を提示しても,それが問題となり得ない場合,子どもの発想を生かし課題を設定していく工夫が考えられる。
 以下は,子どもが話し合いによって課題を設定した実践例である。
・学  年  第2学年
・単元名   はこの形
・指導計画  総時数 5時間
  ○ はこの形…………4時間(本時1/4)
  ○ まとめ・……・…1時間
・本時のねらい
 「面」の用語および直方体の面の数や面の形について理解させる。
・提示した事象  白く塗った直方体のはこ
・教師と子どもの主な反応
T これを見て,気が付いたことや思ったことを発表してください。
Cl 白い。はこのような形をしている。
C2 紙でできている。
C3 積み木みたいだ。
T そうだね。そのほかには。
C4 こっちから見ると長方形に見える。
C5 長方形がたくさんある。
C6 長方形が4つある。同じ長方形がある。
T いくつあるかわかる。
C6 わからない。
T それでは,今日調べることをみんなで決めよう。 (以下省略)
 教師は,子どもの発表を板書しておき,発表された内容が調べないとわからないことかどうかの観点で話し合わせ課題を決める。
 ひとつの事象を提示したとき,子どもがどんな認識をもつかを知ることは,子どもの学習意欲を高めるために大切である。
 実践例のように,直方体の面の数や形について理解させる場合,単に抽象的にそれらの数を問うのでは,それを学習する意味が子どもによくつかめない。そこで,子どもに.思ったこと気がついたことを発表させ,それを生かし課題を決める。これによって.子どもは学習するものの意味を具体的につかむことができ,子どもなりに必要感をもって面の数や面の形を調べる学習に立ち向かうことができる。
(3)課題追究のさせ方工夫
課題追究のさせ方工夫

 子ども一人一人が,課題をつかみ,見通しをもち試行錯誤しながら自力で課題を解決する。その後,個人思考で得られたそれぞれの解決の方法をもとに,小集団学習や,一斉学習で正誤を調べることのほかに,次の3つの視点から解決の方法を振り返り話し合わせるようにしたい。
 「より簡単なもの」
 「より明確なもの」
 「より広く使えるもの」
 このような話し合いを通してよりよい解決の方法を追究する。また,別の方法を考えたり,類似の問題にその方法を適用したり,一般化したりし

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。