福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -005/038page

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ていく。そして,さらにこれを基に新たな問題の発見に努めていく。よりよい解決の方法を追究する過程,一般化の過程,新しい問題の発見の過程を通して,数学的な考え方を養うようにしたい。
 また.「考えるというのは.どういうことをすることなのか」といった考え方や考える方法を,解決過程を振り返らせていく過程で経験を通してつかませていきたい。そして,自らの力で新しい問題に挑戦し,解決し,発展させていける力を育てるようにしたい。
 次は,5年「単位量あたりの大きさ」の実践例である。
・本時のねらい
 テープの長さと代金のような異なった2つの量の割合でとらえられる量の比べ方を理解させる。
・提示した問題
3けんの店で同じテープを売っています。
A店では,3mで18円
B店では,4mで32円
C店では,5mで35円
です。
 どの店で買えば,1番安いでしょうか。

・子どもの主な解決方法
Cl  lmいくらかで比べる。
C2 1円で何m買えるかで比べる
C3  同じ長さ買ったらいくらになるかで比べる。
    A店とB店で12mずつ買ったとする
 A店12÷3=4  18×4=72
 B店12÷4=3  32×3=96
         A店の方が安い
 同様に考えて
  B店とC店では,C店の方が安い
  A店とC店では,A店の方が安い
 だから A店が安い
C4 同じ長さ(60m)買ったらいくらになるかで比べる。
 A店 60÷3=20 18×20=360
 B店 60÷4=15 32×15=480
 A店 60÷5=12 35×12=420
           A店が安い
・解決方法の比較検討
 子どもたちは,Cl〜C4の解決方法は,どれも正しいと認めた。
C5 C3 は長く書くから面倒だな。ノートを多く使ってしまう。(笑い)
C6 AとB,BとC,AとCと比べる回数が多くて難しい。
T  C4 はどうかな。
C7 同じ長さを見つけるのが難しいな。3m,4m,5mだから60とわかったけど。
C8  C2 の方が簡単だ。
C9 Cl の方だと思う。わり算が簡単にできるよ。
C9 C2 だって長さの数がかわるとできると思う。
C9  うん…・・‥‥
 このように,子ども自ら解決方法の「より簡単なもの」「より明確なもの」を話し合いによって追究していく。
 日常の授業でいつも多様な考えが出てくるとは限らない。しかし,いろいろな角度からものの見方考え方ができる子どもに育てることは大切である。そのためには,算数の「学習の仕方」を身につけ,多様な考え方ができる子に育てることであると考える。

4 おわりに
 自ら学ぶ力は,「自ら学ぶ」実践を通してしか自分のものにならないと言われる。 今後.学習の中で独学的要素が強いと言われる問題解決的学習を通して,数学的な考え方を伸ばすとともに「学習の仕方」を育てる授業の創造を目指していきたいと考える。

<参考文献>
・小学校指導書算数編(文部省)・初等教育資料61年11月号(文部省)・よさを味わう授業の創造(明治図書)・自己教育力育成の手引(明治図書)・自己学習力を育てるための指導法の改善一2年次−(福大附属中)・その他

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