福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -010/038page

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教育相談
紙上学校カウンセラー講座

教育相談へ の い ざな い(5)


−心  理  検  査−

教育相談部  岩城 教夫  佐藤 信寛


 今回は.「心理検査」についてお話しします。
 なぜ.教育相談には「心理検査」が必要なのでしょうか。前回の「相談面接法」では,面接のしかたの実際についてお話したわけですが,面接をすすめていく中で,カウンセラーの心の中には『面接ではこう理解できるのだが,実際にはどうだろう?』『この部分がちょっとはっきりしないんだが』といったことがあると思います。それを客観的に確かめるひとつの方法に,「心理検査」があります。今回は,心理検査にはどのようなものがあるか,また,教育相談の流れの中でどのように用いるのかといったことなどについてお話ししてみたいと思います。

1 子ども理解における心理検査
 「心理検査」の話をする前に,まず「子ども理解」について述べてみたいと思います。
 私たちが教育相談を行うとき,私たちは子どもが自分自身を理解している以上に子どもを理解することが大切です。これは,子どもには自分自身で『気づいている部分』と『気づいていない部分』とがあり.教育相談ではその『自分で気づいていない部分』にもアプローチする必要があるためです。たとえば,子どもの問題行動はその『気づいていない部分』が原因となっていることが多く,そこにアプローチしなければ,解決の糸口が見出せない場合があるからです。
よりよい教育相談を行うためには.深い子ども理解が必要である。

 子ども理解の方法としては,一般には,次の図に示す方法があります。
子ども理解の方法
心理検査は,子ども理解の一方法である。

 また,子ども理解の内容は,主に,次のようなことがらを,生育歴の全般にわたって知る必要があります。
○身体・生理面のこと…・・・遺伝的要因,出生に関すること,身体状況.多動,器用さなど
○心理面のこと‥‥‥知的発達,性格,対人関係,基本的生活習慣,習癖など,
○環境面のこと……家庭環境,学校環境.社会環境など
○生き方に関すること・…‥道徳牲,人生観,よりよく生きることについての意欲など
 これらのことについての理解を深めるための心理検査にはどのようなものがあるか,次節で述べます。

2 主な心理検査とその特徴
 心理検査には,
○質問紙法(設問に解答させる)……主に意識している部分を対象とする検査
○作業検査法(ある作業をさせる)……主にぼん

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