福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -012/038page

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4 心理検査実施上の留意点
 ○ 心理検査を何の目的で実施するのかを決定します。
 ○ 次に,心理検査の内容と方法を十分に知っていることが大切です。
 ○ 十分にラボールができてから検査を実施します。それは,緊張させず自由に自分を表現させるためです。
 ○ 子どものコンディションが悪い時はさけた方がよいです。
 ○ 場所は静かで,落ち着いてできる所が望ましいです。
 ○ 検査の実施を子どもが承諾していることが大切で.強制はしないことです。
 ○ 検査中,子どもの観察も重要なことです。

5 心理検査の結果の伝え方
 検査の結果の伝え方は慎重にしなければなりません。場合によっては,直接本人に伝えない方がよいこともあります。伝える場合は次の点に留意しましょう。
 ○ マイナスになる不用意な言葉は慎む。
 ○ 価値評価をさける。
 ○ 多面的に伝達する。

6 事 例
 次は学級担任が教育相談の流れの中で使用した心理検査の事例です。

 入学当初実施した適応性の集団検査の結果.学校生活に不適応の結果がみられたことからそれとなく注意をはらっていた。最近,頭痛や腹痛を理由に遅刻や欠席をするようになった。そこで,不登校にならないうちに問題の改善をはかるべく面接を実施した。

 ○ 主 訴  不登校傾向
 ○ 対 象  中学1年男子 A夫
 ○ 問題の概要
 入学後,クラスには小学時代の友人が一人もおらず,学校生活がおもしろくなかった。また,中間テストで3科目が思ったより悪く落ちこんだ。最近,腹痛や下痢があるので,専門医を受診したら,心因性と診断されたとのことであった。

  (A−本人,T−担任)
T 「前に,胃がいたくなったことがあったの」
A 「小学6年の夏休み前ころかなぁ‥‥‥時々痛くなったのは」
T 「う〜ん,夏休み前・…‥」
A 「丁度,サッカー部をやめたころだったと思うけど」
T 「サッカー部をやめた・・‥‥」
A 「うん,のろい,ぐずぐずしている,何しているんだ,などと言われ嫌になったもんだから」
T 「なるほどね,それではやめたくなるよね。ところで,君は何か言われたりするとひっこんでしまうことがあるのかな?」
A 「ええ.自分では内気だから‥‥‥」
T 「内気…….本当にそうなの?」
A 「家の人や.友達がそういうから‥・…」
T 「そうか,友達がそういうからか,本当なのかな?,もしよかったら,自分の性格をもう少しはっきり知りたくない?,ちょっと検査して」
A 「じゃ,やってみます」

 そこで,YG性格検査を実施した。

○ 検査中に観察された態度

 ア ○印をつけているのをかくすようにしている。
 イ 問いに対して,すぐ○印をつけず、まよっている様子である。
   このことから,自分の考えに自信がないようにうかがえる。

○ YG性格検査

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