福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -013/038page
YG性格検査プロフィール
○ 検査を終了してからの面接の経過
T 「つかれた?」
A 「ええ.ちょっと」
T 「そうでしょう。何か真剣で慎重に取りくんでいたように見えたから,疲れたのではと思った。慎重ということは,じっくりタイプだから変な間違いなどしなくていいよね。この結果については,明日にでも教えよう。又放課後いらっしゃい」
A 「はい」
○ YG性格検査の所見
E型,情緒不安定,社会的不適応,非活動的である。特徴としては,神経質であり,物事を自己本位的に考え,自分に対して自信を持てないタイプである。また,じっくり考えるタイプであるが目立ちたい気持ちも持っている。
○ 検査結果をもとにした面接
A 「この前の検査の結果を説明しよう。君は,物事の判断に対して,細心の注意を払うほうですね。」
A 「ええ,少し神経質なので」
T 「細かい所に気がつくタイプね。人の気持ちなどよく理解できるでしょう。」
A 「はい,常にどう思われているかなど考えたりして」
T 「なるほど,自分を厳しく見つめるね。そうだとしたら,他の人と自分を比較なども?」
A 「私は,ダメな人間だから」
T 「どうして?」
A 「みんなから,よくそう言われるし」
T 「言われた経験があるから,そう考えるのね,なるほど言われたからかね‥‥‥」
など肯定的に自分を見つめさせ自信を持たせる面接を経験させた。
○ その後の面接経過と結果
自分を肯定的に見つめさせる面接を実施し,さらに学級内の人間関係の調整など環境調整をはかった。その結果,学校生活に徐々に適応が見られてきた。
心理検査は,子ども理解の一つの方法であって,心理検査できめつけないことです。心理検査自体がカウンセリングであるという考え方が大切です。
教育相談の中で,心理検査の活用の仕方を探ってみたが,面接と検査が一体となってはじめて教育相談の効果があらわれるものです。
面接の中から自然になされるべき心理検査の選択ができ,また.検査結果をもとに面接の内容が深まるという過程が問題の解決に結びつくものです。
<参考文献>
・センター研究紀要 第42号,62号
・センター個人研究集録(教育相談部) 昭和60年度