福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -017/038page

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研修者の研究報告(教育研究法講座)

化学的な物質の見方を養う指導

福島県立福島女子高等学校  斉 藤 洋 一



1.研究の趣旨
(1)研究の動機とねらい
 化学は,物質の性質・変化の中から,そこにある化学原理・法則を発見する学問であると言われている。これを学習させるためには,化学的性質,物質の状態,化学反応を材料として.実験を通して化学の基礎を理解させることが大切である。本校では上級学校進学希望者が多いことから,学習量と時間数の関係で講義中心になりがちである。しかし,化学の実験を中心に授業を進め到達度を確認して見ると,その到達度は意外に低いときがあった。<表1>
 <表1> 実験後の正答率
アンモニアの製法に関して    42%
Ag+,Cu2+ の錯イオンの生成 35%
錯イオンの色に関して      48%
Fe2+,Fe3+ の検出反応   25%
Al3+ とNaOH の反応     45%

そこで,実験を中心に進めた指導の過程でどこに不十分なところがあったのかを検討したいと考え,生徒の実験についての関心と意識の調査をした。    <表2・3>
 <表2> 実験に対する関心の度合
<表2>実験に対する関心の度合
  ↓             ↓
実験は好き       そんなに好きでない
実験は好き,好きなほうだと答えたのを合わせると82%にもなり,実験に対する関心は高いことがわかった。
  <表3> 実験に対する意識
○実験の授業は普通授業より気が楽だ 33.3 %
○友人と話ができる 10.4 %
○グループのうちの誰かが実験をやればいい 12.5 %
○実験後だれかの結果を見せてもらえばいい 12.5 %
○試験には結果だけを考えておけばいい 16.7 %
○その他 14.6 %

 しかし,意識のほうは低いことがわかった。実験に関しての意識がこのような内容では,実験の効果は期待できない。もっと観察・実験の大切さを指導していかなければならない。そのためには観察・実験の態度の評価や,試験の内容に観察・実験の過程や考え方などを問うことも必要であろう。これらのことは化学の学習で大切な「化学的な物質の見方を養う・・・」に結びついていくものと考える。更に,観察・実験の指導と相まって学習効果が上がるものと思われる。そして,観察・実験が大切な科学の方法であることを十分指導していかなければならない。
 そこで,観察・実験を通しての学習について検討し,生徒がより一層化学的な物質の見方ができるように指導したいと考え,主題を設定した。
(2)問題点
  生徒に「化学の観察・実験を通して学習の効果を上げるためには,観察・実験の過程でどこをもっと大切に学習すべきだったか」を

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