福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -019/038page
化学の観察・実験を進めるにあたっては,次のような探究の過程を踏ませることが有効であると思われる。
このような探究の過程を踏ませ,その中で多くの科学の方法が取り入れられ,その間に科学的能力や態度が育成されていくものと考える。
そこで,観察・実験を柱に,推論の過程を大切にしながら授業を進めることにした。ここでは,この探究の過程のうち「問題解決のために推論することによって化学的な物質の見方を理解させ,学習の効果を上げることを目的とした。
3.計画
(1)方 法 一群法
(2)対 象 2年選択組 48名
(3)組 織 個人研究
(4)日 程
1 事前研究の段階
ア 研究計画の樹立 (6月)
イ 実態調査 (6月)
ウ 研究主題の決定 (6月)
エ 文献研究 (6〜7月)
オ 仮説の設定 (6月)
2 検証の段階
ア 教材研究と指導計画の作成(8月)
イ 事前テストの実施 (10月)
アンケートの実施
ウ 検証授業 (10月)
エ 事後テストの実施 (11月)
アンケートの実施
オ 把持テストの実施 (12月)
3 整理の段階
ア データの処理 (11月)
イ 結果の分析 (12月)
ウ 研究のまとめと反省 (12月)
4.概要と考察
(1) 研究の過程
1 検証までの準備
ア 問題解決のための推論をさせた後,実験を進めさせる
イ 二酸化炭素の定量実験に関する文献研究をする
ウ 実験に対する意識調査とアンケートの作成
エ 物質の化学的性質.状態,反応及び実験の方法に関する事前,事後,把持テストの作成
2 検証授業計画
ア 単元名 「酸と塩基の反応」
イ 指導計画 (総時数8時間)
(ア)酸と塩基 (2時間)
(イ)水の電離平衡と溶液のPH(1時間)
(ウ)中和反応 (1時間)
(エ)酸・塩基の規定度と中和滴定(2時間)
(オ)中和滴定の実験 検証授業(本時)
(カ)塩の種類と塩の加水分解(1時間)
ウ 本時の指導
(ア)題材「二酸化炭素の溶解量を調べる」
(イ)本時のねらい
中和反応において,酸と塩基とが等しいグラム等量数で反応すること。それによって酸や塩基の濃度や量を調べることができることを理解し,水に対する二酸化炭素の溶解量を調べる。