福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -026/038page

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個人研究

1単位時間における指導の個別化と形成的評価はどうすればよいか


−パソコンを利用した個別化とSP表/CEL分析−

東和町立上太田小学校教諭  鈴木 清治


1 はじめに
 「現在.コンピュータは社会に広く浸透しつつあり,その社会や教育に及ぼす影響とコンピュータの教育における利用は,今後の教育の在り方を考えるに当たっても重要な検討課題となるであろう。」
 これは,昭和60年3月29日に発表された,文部省社会教育審議会教育放送分科会の「教育におけるマイクロコンピュータの利用について」の報告のまえがきの中の一部である。
 続く本文では,マイクロコンピュータの学校教育における利用の態様として,次の3つをあげている。
1 学習指導のための教具としての利用
2 教師の指導計画作成のための利用
3 学校経営の援助のための利用

 また,これを受けて,8月22日に文部省初等中等局の「情報化社会に対応する初等中等教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の第1次審議のとりまとめが発表されたが.学校教育におけるコンピュータ利用等の基本的考え方として,次の5点が指摘されている。
1 学校教育本来のねらいの達成
2 新しい資質の育成
3 発達段階に応じた導入
4 諸メディアの活用による学校の活性化
5 基礎条件の整備

 そして.この考えの上に立って,小学校では.「学習指導方法の改善・充実に資することを目的とする。したがって,コンピュータ等の機能についての理解や操作そのものを目的とした指導ではなく,教具として活用することを通してコンピュータ等に融れ,慣れ,親しませることを基本にする。」としている。
 このようにコンピュータは徐々に教育の場に導入されようとしているが.本研究は,その利用の一方法として取り組んだものである。

2 主題設定の理由
 日々の授業を進めているとき,どのように対処したら良いのかと悩むことに.個人差にいかに応じていくかということがある。
 個人差に応じる1つの手だてとして,個別指導の重要なことは,周知のことである。しかし,一単位時間45分の中で,一斉学習という学習形態では,なかなか個別化を図れないのも現実である。
 一方,評価については,特に.一単位時間の中での指導の個別化という点で考えたとき,即,児童にフィードバックできるような形成的評価のあり方の工夫もまた,必要になるものと思われる。
 以上のような理由から,本研究主題を設定した。

3 研究のねらい
 一単位時間の中で,どのようにしたら個人の能力差に応じた指導と評価をよりよく行うことができるのかその方法を究明する。

4 研究の仮説
(1)理解の早い児童にはパソコンによる学習を取り入れ,一方,理解の遅い児童にはその間を利用した教師による個別指導を取り入れれば,一単位時間の中で効率よく指導の個別化を図ることができるであろう.
(2)パソコンにより到達度をチェックし次に進むべき段階を表示すれば,児童は,自分自身の理解度を評価しながら,自分の進度に合わせて学習を進めることができるであろう。
(3)パソコンチェックによる結果をSP表に打ち

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