福島県教育センター所報ふくしま No.80(S62/1987.2) -030/038page

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2  全体としての成果
 ア.ー単位時間の終末段階という限られた時間の中で効率よく,遅れがちな子にも進んだ子にも個別指導の機会を今まで以上に等しく与えることができた。
 イ.従来は,どうしても無味乾燥になりがちだったドリル的問題に対して,児童はまちがいを苦にせず楽しく取り組めるようになり,また,教師は,主観に左右されることなく,誤答原因を探りながら指導を進められるようになった。
 ウ.正否がすぐ判定されるので,児童は早い時期に自分のまちがいに気付き,自分なりに.あるいは.教師の適切な助言や指導を受けたりして,誤答を訂正し正しい方法を身につけることができるようになった。
 エ.パソコンチェックにより打ち出されてくる資料をもとに,ノート等により誤答分析も併わせて行ったので,一人ひとりの問題点を的確に,しかも,客観的にとらえた上で個別指導に当たれるようになった。
 オ.CEL分析により,SP表からだけでは読み取りにくかった学習成果の推移をとらえやすくなった。また,この分析の結果から得られる成長係数や努力係数,変動域,4タイプ分類などにより,各児童に対しての「承認,励まし,注意」などの指導において,単に点数だけによる推移の比較だけでは決して得ることのできない,より具体的なアドバイスができるようになった。

パソコンチェック実施中
    パソコンチェック実施中

(2)今後の課題
 1 学年全単元を見通したパソコンチェックの効果的な位置付けの研究。
 2 情緒的な面にも配慮しながら多様な誤答に対応できるようなシステムの開発と.追指導用の問題の作成。
 3 種々の問題が入力できるような,汎用性のあるプログラムの開発。
 4 「数と計算」以外の領域への拡張。

9 おわりに
 一単位時間の中で何とか効率的な個別指導のための機会を設けたいとの願いで始まった研究であるが,まだ緒に就いたばかりで,これから解決しなければならない問題が山積している状態である。
 教育におけるパソコンの利用については,教育方法の改善の面で種々の可能性を持つと考えられるので,さらに研究を進めていきたいと考えている。
 その際,次のような点に十分留意したい。

 (1)利用目的の明確化
 (2)優れたソフトウェアの開発と利用
 (3)適切な位置づけと他の方法との調和
 (4)教師・指導者の役割
 (5)技術的な問題
 (6)利用体制の整備
 (7)健康への留意
 (8)倫理上または法律上の問題

<参考文献>
「教育評価法ハンドブック」    第一法規
「教育工学の原理と方法」     明治図書
「算数科の形成的評価入門」    明治図書
「S−P表の作成と解釈」      明治図書
「授業設計と評価の処理技術」   明治図書
「SP表の活用」          明治図書
「SP表/CEL分析」         電波新聞社 
「プログラムライブラリー」   アスキー出版局
         

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