福島県教育センター所報ふくしま No.81(S62/1987.6) -006/038page

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<所員個人研究>−中学校学習指導・社会−

学習意欲を高める地理学習の指導

−「身近な地域」における野外観察・調査の指導事例−

学習指導部 鷲田 洋

1.はじめに

 地理的分野の指導の目標は、「日本や世界の様々な地域についての学習を通して、地理的な見方や考え方の基礎を培い、広い視野に立った我が国土に対する認識を養う。」ことにある。しかし、現実には,地理的事象の羅列や地名・産物等の暗記に終始しているのではなかろうか。そのために学習意欲がそがれた生徒は少くないと思われる。
 他教科、例えば、美術科の授業では、生徒たちは、のびのびと思い思いの工夫をこらして、彫塑等の製作にあたり、意欲的であり、とても楽しそうである。この相違の原因は、作業的な学習にあるのではなかろうか。そこで,社会科においても作業的な学習をもっと重視する必要があると思われる。
 「身近な地域」の学習は、その作業的な学習を取り入れる格好の場である。そこで、その実践例を中心に指導の在り方を追究したい。

2.野外観察・調査

(1) 学習指導要領における野外観察・調査
 地理的分野の固有の能力目標・態度目標として地理的事象に直接触れてそれを正しく考察することに必要な能力と、地理的事象を適切な資料に基づいて多面的に考察し公正に判断しようとする態度を育てる」(地理的分野目標(5))があり、地理的事象を直接見聞させ、学習効果を増大させる必要性が強調されている。そして、作業的な学習については、「指導全搬にわたって、地図や年表を読みかつ作成すること、新聞、読み物、統計その他の資料に親しみかつ活用すること、観察及び調査したことを報告書にまとめることなど作業的な学習を十分取り入れる必要がある。」(第3 指導計画の作成と各分野にわたる内容の取扱い 3)とある。一方、内容(2)日本とその諸地域の ウ身近な地域 において、「身近な地域における諸事象を取り上げて、…………観察や調査をさせ、地理的な見方や考え方の基礎を身につけさせるとともに、生徒が生活している土地に対する理解と関心を深めさせる。」とある。
(2) 野外観察・調査の学習効果
 野外観察と調査の学習効果として、次のことがあげられる。

 野外観察や調査などの作業的な学習を展開し、生徒の地理学習への意欲を高めるには、「身近な地域」の取り扱いが大きな課題になってくる。

3.野外観察・調査の指導事例

(1)指導計画の作成
 地理的分野「身近な地域」の中に位置づけ、指導計画を作成する。その際、次のことにも留意したい。
(2)観察・調査対象の選択基準
 地理的な見方や考え方を育成するために適切な事象を精選する。 

 

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