福島県教育センター所報ふくしま No.81(S62/1987.6) -012/038page
の学習に取り組むことができるようにするための指導のポイントは次のようなことである。
5.指導のポイント
(1)50mハードルの具体的な個人課題の設定の仕方
<表−2> 50m走と50mH走タイム差 (単位 秒) レベル/タイム 平均 最小〜最大 上位(20%) 1.6 O.7〜1.8 中上位(20%) 2.O 1.9〜2.3 中位(20%) 2.7 2.3〜3.1 中下位(20%) 3.7 3.2〜4.O 下位(20%) 5.3 4.2〜9.8 1. 目標タイム
50m走と50mHのタイム差をみたものが<表−2> である。走能力に応じて目標タイムを設定するのであるが、平均的には50m走のタイムにプラス2秒〜3秒が目安となる。
2. ハードルの高さ
身長に応じて、具体的に膝、膝と腰の中間、腰の高さの目安をみたものが<表−3> である。このように高さを身体の部位で表現すると、高さを身近にとらえることができ課題設定がしやすくなる。
3. インターバル・ランニングのリズム
<表−3> ハードルの高さの設定の目安 (単位 cm) ハードル高/身長 低
145〜154中
155〜159高
160〜165ステージ1
膝35〜42 42〜45 45〜50 ステージ2
中間55〜65 65〜69 69〜78 ステージ3
腰75〜89 89〜94 94〜105
<図−7> は、3歩のリズムと5歩のリズムについての調査結果である。このことからすると3歩のリズムにとらわれずに指導する必要がある。4歩のリズムについても積極的に取り入れる必要がある。なお、走力の劣る生徒には、インターバルを短かくして3歩のリズムでカバーするように指導するより、インターバルを長くして5歩のリズムでカバーするように指導した方が、加速がスムーズにできると同時にハードリングにも好影響をもたらすという利点がある。 (2)技術面
1. ハードリング
ア)両脚と両腕のバランス
歩行やランニングと同様にハードリングについてもこのバランスが大切である。ランニングフォ−ムを大きくしたのがハードリングであるという考えに立ち、低いハードルを使って脚と腕の動きを同時に指導するのが適切である。
イ)ハードルと両肩の関係
ハードルと両肩を平行に保つことが、バランスの良いハードリングにつながる。振り上げ脚と反対の腕の動きが大切であり、振り上げ脚を前に上げた時に上体が横向きにならないようにする。ウ)ハードリング後半の重要性
一般的に、これまでの指導では、ハードリング前半の大切さが強調されていたが、それに加えて後半の着地脚の振り戻し方・つき方(膝と足首の力を抜かず靴の前半分でしっかりと地面をとらえる)や抜き脚の膝を真っすぐ前に出すということを強調して指導する必要がある。エ)ディップの指導
初期の段階や低めのハードルでは特に強調する必要はない。強調しすぎるとかえってハードリングのバランスを崩す原因にもなる。2. インターバル・ランニング
ア)ハードリング後半からのつながり
着地から抜き脚の第1歩がインターバル・ランニングになるわけである。この第1歩を前に大きく出すというより、強くキックするように指導した方がスムーズにインターバルランニングにつながるのである。イ)加速とスライドの関連
スライドを大きくすればインターバル・ランニングが良くなると考えがちであるが、加速することが最も大切なことと考えれば、オーバーストライドにならないようにして確実に強くキックするように指導した方が効果的である。3.視線の位置
ハードリングやインターバル・ランニングにおいて、どこを見ているかということが非常に重要になってくる。ハードルの横木を見るように指導した方がよい。踏切地点を見るということは避けた方がよい。
この他にもポイントはたくさんあるが、ここでは一般的、共通的なものだけにとどめた。