福島県教育センター所報ふくしま No.81(S62/1987.6) -013/038page
6.評定について
実際の評定に当たっては、学習目標や内容に沿って運動の技能、知識・理解、関心・態度の各項目について毎時間の評価の蓄積により正確に行うべきである。単元の最後の記録会のタイムだけで評定をするというのでは明らかに不十分なのである。次は、障害走の評定の一例である。
(1)運動実践カ………〔50点〕
◇進歩度…………………………………15点
・最初の50mHと50mHベストタイム差
0.1秒 …………→ 1点 ↑ ↑ ↓ ↓ 1.5秒 …………→ 15点 ◇開発度…………………………………20点
・50m走と50mHのタイム差
◇技術…………………………………15点
〜 1.5秒 …………→ 20点 1.6 〜 2.5秒 …………→ 15点 2.6 〜 3.5秒 …………→ 10点 3.6 〜 4.5秒 …………→ 5点 4.6 〜 …………→ 1点
○ハードルの高さ……………(5点)
○インターバル・ランニングのリズム(5点)
- ステージ1………→1点
- ステージ2………→3点
- ステージ3………→5点
○ハードリングフォーム……(5点)
- 同一リズムでカバー……→5点
- 同一リズムでカバーできない……→1点
(2)理論的実践力………〔20点〕
- バランスが良くスムーズである……→5点
- 全体的にぎこちない……→1点
◇観察法
活動の状況をチェック・リスト等により毎時間の記録をとる。
◇ぺ一パーテスト
生徒の実態に合わせた基本的な問題
<総合判定> ○ …(達成十分)…………→20点 △ …(おおむね達成)……→10点 × …(達成不十分)………→3点 (3)社会的実践力………〔30点〕
◇関心・態度
生涯体育との関係からも重要視していかなければならない能力である。
A1…自己の能力を正確に把握し、課題を適切に設定できる。
A2…課題達成のため全力を集中して活動することができる。
A3…運動の喜びや楽しさを味わうことができる。
◇マナー
B1…競争において、勝敗だけにこだわらず公正に活動できる。
B2…自己の責任を果たし、仲間と協カし合うことができる。
◇健康・安全
C1…自他の健康状態に関心をもち、適切に運動することができる。
C2…用器具等に注意をはらい、安全に運動する。
各項目について、観察法や自己評価法などにより毎時問の記録をとり、それをもとにして単元全体としてまとめ、生徒がどのように変容していったかをとらえ、その傾向性を総合的に判断する。
<総合判定> ○ …(達成十分)…………→30点 △ …(おおむね達成)……→20点 × …(達成不十分)………→5点 このように、毎時間の具体的な評価の視点を明らかにすることにより、生徒は意欲を増し積極的に取り組むようになった。なお、各項目の点数化については、実態に応じて設定する必要がある。
7.おわりに
本稿では、個人的スポーツである陸上競技の障害走の指導の要点について、高等学校の1年女子を中心にその在り方を探ってみた。女子生徒が陸上競技の障害走に意欲的に取り組み、その特性に触れた楽しさを味わうことができる授業づくりの参考になれば幸いである。