福島県教育センター所報ふくしま No.81(S62/1987.6) -015/038page
しかし、これらは、 行動としての表れ方の違いだけであって、不安を根源とする意味においては本質的には同じものであると言えます。
2.問題行動はどのようにして起きるか
問題行動は、その最も基になる要因− 素因 −と問題行動の直接の引き金となる要因− 誘因 −とが相互に関係しあって形成されると考えられます。
素因:性格、身体的なこと など
誘因:家族関係、学校での人間関係 などですから、素因が大きい場合は、ちょっとした誘因でも問題行動が発生しますし
(例)
素因が小さくても、それに働く誘因が大きければ問題行動は発生します。
(例)
3.問題行動に気づくには
問題行動の指導で最も大切なことは、早期発見早期指導です。問題行動にいち早く気づくためには、次のようなことが大切です。
そのためには、
気づきの能カを高める
といったことが大切です。これを土台に、次のような態度で児童生徒に接していけば、問題行動の早期発見ができると思います。
- 気づきを高める練習をする。(具体的には所報77号を参考にしてみてください。)
- 問題行動の徴候と状態について知る(問題行動には、必ず、その徴候を示す行動が見られます。紀要68〜70号を参考にしてみてください)
特に、次のような行動が持続して見られた時はなぜ、その児童生徒がそのような行動をするのか心理的な背景を深く考えてみてください。
- 一人一人と共感する気持ちで接する態度
- 個あるいは集団と好ましい人間関係を日ごろからつくっていこうとする態度
- 一人一人の表情、ことば、態度、服装などの変化を読み取ろうとする態度
<授集中>
落ち着きのなさ、遅刻、視線を合わせないなど <学習>
成績の急激な低下、感情まかせの字、筆圧の弱々しい字 など<休み時間>
<昼食>
孤立、職員室のあたりをうろつく、学校からのぬけ出しなど
元気なく食べる、食欲がない、落ち着きなく食べる。食事にまつわるいじめなど<その他の学校生活>
<家庭からの情報>
欠席が増える、髪形、服装の急激な変化、校内の物品の破壊、飼育動物の残虐行為など