福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -010/038page
○問題性予測検査(DAT)
家庭と学校に強い不満を持っている。また、自分は意志が弱い人間であるという否定的な自己像を抱いている。自分のものの見方、考え方が常軌を逸しているがそう思っていない様子がうかがえる。
○親子関係診断検査(子用)
テスト・バッテリーから理解できたこと(仮説)
本人は、両親の自分へのかかわりを次のように受けとめている。 両親とも厳格で常に力で押さえつけられており相談しようにも相手にしてくれず、時々きつくしかられる。また、期待するあまり必要以上に、何事につけても干渉し自分の意見を取り上げてくれない。さらに、一貫性のない対応をされており自分のことに対して両親はよくけんかをしている。
指導仮説と指導結果(概要)
本人の情緒の安定をはかることが第一と考えられる。
(家庭では)
干渉せず本人の話し相手になる。
(学校では)
先生方が常にやさしく声をかけ、当分の間は本人の言動を注意しない。以上の指導仮説をもとに指導援助を計画的に勧めた結果、次第に笑顔が見られるようになり問題が改善されていった。
テスト・バッテリーについてご説明しましたがいかがでしたか?
テスト・バッテリーは観察、面接などと補い合ってはじめて、子どもの理解と指導援助に効果的に働くものと考えられます。そのため、常日頃の観察や子どもとのより良い人間関係が大切と思われます。次回は、ロール・プレイングについての内容です。