福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -011/038page

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<研修者研究報告>−学校経営B講座

学力の向上をめざす指導改善の試み

福島県立喜多方高等学校
(現・矢吹高等学校教頭)

鈴木 昭彦


1.研究の趣旨

 本校生徒の学習状況をみると、意欲的に取りくんでいる生徒もいるが、かなり多くの生徒が自律性に欠け、親や教師に強いられている状態である。また生徒自身の現状認識の甘さや努力不足のために、鍛えれば伸びる潜在能力がありながら、能力を出しきらないままで進路決定する者が多くみられる。
 これをあずかる当該学年としては、卒業時における各生徒の進路目標の達成を眼目としながら、自律的な生活習慣の確立と、適正な進路の方向づけと、更には全国レベルをめざした学力の向上が急務である。そこで指導上の問題点として反省し見直してみると次のようなことがあげられる。

(1) 授業のすすめ方が教師中心であり、日々の授業の指導上の工夫と改善が必要である。
(2) 生徒の能力差に応じた指導に徹底を欠く面がみられる。
(3) 学習指導と生徒指導の一体化が十分に図られていない面がみられる。
(4) 進路意識の自覚をうながす情意面での育成指導をさらにすすめる必要がある。

 以上の問題点のうち、とくに(1)・(2)に視点をあてて改善を図ることが重要であり、改善の見込みもあると思われる。そのためには,学年担任が一体となって、それが教科担任の立場で授業改善に取りくみ、生徒の学習意欲を高める効果的な指導法を見いだし、学力の向上を図ることが学年経営の重点課題であると考え本主題を設定した。

2.研究の見とおし

 学習指導の方法を見直し、学習課題の設定など教科指導の手だてを工夫し、きめこまかな実践指導を積みかさねていけば、生徒一人ひとりの学力向上の効果をあげることができるであろう。

3.研究の方法と対象

(1)研究の方法
  1. 研究・調査についての構想の策定
  2. 実態調査と問題点の分析(第一次調査)
  3. 研究の具体策の計画と実足
  4. 生徒の変容調査(第二次調査)
  5. 実践結果のまとめ
(2)研究の対象
  1. 本校教諭 38名
  2. 2学年生徒 268名

4.研究の結果と考察

(1) 生徒の実態調査と教師の意識調査の考察

 本校2学年では、国語・数学・英語の三教科を基本教科として強化指導の体制をとっているが、全国レベルの外部模試で三教科とも全国平均を下まわり、偏差値上位者の数もきわめて少ない。そこで国・数・英三教科の「つまづき」の原因をさぐることにより、生徒たちのできないわけがはっきりするかもしれないと考え、つまづきに関する調査を行った。

ア 調査―1 学習のつまづきに関する調査

1.あなたは、今までにとくに勉強につまずきを感じ、できなくなったことがありますか 国語・数学・英語それぞれについて答えてください。
2.それはいつ頃ですか。
3.つまずいた原因は、主としてどれにあたりますか。a 先生 b 学習内容 c 自分
4.その原因は、具体的にどのようなことから起こりましたか。
5.そのつまずきを解決するためにはどんな努力が必要ですか。
6.そのつまずきを直すために先生にしてほしいことをあげてください。

○調査結果と分析
1.つまづきの経験のない者:国語67名(25%)

 

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