福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -014/038page
4. 課題学習の実践(英語IICの例)
ア.グループ学習活動について
英語IICの学習においては、具体的な到達目標の明示が学習進歩につながると、次の3段階を考えた。
第1段階(意味確認と音読)
授業で習った語句、重要文の意味内容と文法上の関係がわかり、正確に読める。
第2段階(暗誦・暗写)
授業で習った語句、重要文を見ないで言え、かつ書ける。
第3段階(応用)
授業で習った語句、重要文を使って応用できる。このなかでとくに第2段階の暗誦・暗写の練習に重点をおき、グループ学習記録表によって、学校の授業と家庭学習とが効果的につながり、学力差に応じながら、一人一人を生かし、英語の力がつくようにグループ学習を実践してきた。課題学習のプリントとしては、教科書の重要文をそのまま抜き出し、英文と和文を別々にタイプしたもの2枚を暗記用とし、更に発展学習として難易度をふまえた応用問題プリントを与え、授業でも活用することにした。
今まで一斉学習のなかに埋没していた生徒を活動させるために、暗誦・暗写リーダーが中心になってグループ学習記録表にチェックしながら、お互に励ましあい英語の力をつけるグループ学習の形態をとった。
イ.グループ編成とリーダーの役割
一学期の成績をもとにして、学力・男女が不平等にならぬように配慮し,5人ずつのグループ編成を行った。その中で男女各一名を暗誦・暗写のリーダーとして割り当て、班員がすらすら間違えずに暗誦できるか、正確に書けるかを記録させ、週末には右のような各班の記録薄を提出させ点検することにした。
ウ.課題テストの活用
1日5題暗記、1週間で30題を達成目標としてプリント課題で与えたものの中から毎週1回テストをする。すぐに評価して、できぐあいをみていくことが不可欠であると考えるからである。5. 実践の結果
6クラスの中で一学期の成績が一番よかったクラスを比較学級として、実験的指導学級2クラスをこれに対比してみることにした。一学期のテストの成績と、課題学習後の二学期中間テストの成績を比べてみると、その差異がかなりはっきりと認められる。
実験的指導学級ではともに偏差値が上がり、かつ標準偏差の幅がせばまっているが、比較学級では逆に偏差値が下がり、標準偏差の幅はひろがっている。また生徒の各層の内容の変化をみると、実験的指導学級では下位層が減り、そのぶん中・上位層が多くなり、比較学級では下位層が増え、上位層が少なくなっている。
表−1 得点偏差値平均及び標準偏差の変化 偏差値平均 標準偏差 一学期 二学期 その差 一学期 二学期 実験的A-1指導学級 49.7 50.1 +0.4 24.5 20.9 実験的A-2指導学級 50.7 53.3 +2.6 21.4 20.4 比較学級B 52.3 50.O −2.3 19.4 22.6 学年全体 ――――――――――→ 22.5 22.0 成績平均得点 ――――――――→ 58.9 57.4
また実験的指導学級内の個々の生徒の変化(表3)をみると、下・中位それぞれの生徒群が、下位層から中位層へ、中位層から上位層へと顕著に移行していることが認められる。これはこの課題学習の方法が、下位・中位の生徒に対して相当に効果