福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -015/038page

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があることを示している。
 以上のことから、まず義務づけることからはじめる課題学習の方法は、特に下位・中位の生徒の学力を伸ばすうえで、必要性が極めて大きいことがわかる。 表−2 上・中・下位層の得点状況の変化 表−3 校内偏差値による得点分布

6.課題学習と生徒の変容
 課題学習によってどのように学習が進み、どのように変わったかについてアンケート調査(英語85名、数学43名)を行ない、次の結果を得た。 課題学習と生徒の変容

7.結果と考察のまとめ
 グループ学習や添削指導等を通して課題学習をセットしたことにより、基本的な学習の定着が顕著にあらわれ、幾分かの自信をつけて、すすんで学習に取りくむ姿勢がみられるようになってきた。事後調査にもみられるように、次第に学習の仕方がかわり、学習習慣も身について、学習に時間をかける者も多くなってきている。以上の事実から課題学習を強化したこれらの方法が、学力向上のための指導効果としてかなり高い有効性を示すものとみとめることができる。
 従って、学力の向上をめざすためには、まず第一に指導方法としては課題を義務づけてやらせること、そしてこれを基礎として自主性を育てていくことが必要であると思われる。第二に指導過程では、課題を適度に与えて、たえず点検してやりかつ短期間単位の小テストで形成評価をして、それぞれのレベルの生徒の成功感を高めていくことが必要である。

5.反省と今後の課題

ア) 実験的指導学級でのプラスの成果が、課題学習による効果であるかどうかは疑問が残るが、学習志向の雰囲気づくりに好結果をもたらしている。
イ) どの教科でも教科書を記述されている内容の理解レベルにとどまらせないで、さらに一歩すすんで手づくり教材の工夫や反復練習で学習の定着を図るべきである。
ウ) 自信をもたせるようなものを教師がセットしてやることは必要なことである。そのために用意される課題プリントの活用の仕方が指導効果を高める決め手になる。
工) 実験的指導学級で有効性があらわれた教科の指導方法は、他のクラスでもさっそくとり入れていく。

 短期間に限定して、学習指導の一方法についての有効性の検証であったが、幾分でもやればそれなりの成果はあがることがわかってほっとしている。研究の結果得られた有効な方法を少しでも活かして、今後さらに学習の成果をあげていきたい。

 

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