福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -016/038page

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―アイディア紹介―

「身近な電気製品を用いた電気の学習(2年)」

安達郡白沢村立白沢中学校教諭

青田 誠

1.はじめに

 現在、電気の分野の学習では定電源装置を用いて行う実験が大部分である。しかも、数V程度の低電圧の直流により行われている。
 しかし、実生活では、交流で100Vの電圧を必要とする電気製品がほとんどである。このような実験室と日常生活のギャップが、電気の学習を比較的理解しにくい分野にしているのではないかと考えられる。
 これらのギャップをうめるべく身近な電気製品を用いて、「オームの法則」や「ジュールの法則」を導出する方法を工夫したので紹介したい。

2.実践例

(1) オームの法則について
 従来は、ニクロム線などを用いて簡単な回路を作り、電圧を変化させそれに応じて変化する電流値を読みとらせた。この結果を考察してオームの法則を導いてきた。
 オームの法則はこのような実験室内だけで成立するのではなく、もっと広い普遍的な法則であることを認識させるため、身近な家電製品を用いて実験を行った。

1. 実験方法
図1 実験方法

 図1のようなテーブルタップを利用して回路を作る。テーブルタップのマル1のところに交流電圧計を、途中には交流電流計を接続しておく。
 実験を実施するときは、マル2のところに家電製品のコンセントを差し込み、スライダックの電圧を10V毎に徐々に上昇させていく。このときの家電製品に流れる電流値を読みとり、グラフ化する。
表−1 測定例
 表1には、実際の測定例が示してある。ワット数に応じて電流が変化し、さらに電流と電圧が比例していることが容易にわかる。
透過式メータ

2. 実験上の留意点

 実験を行う前に、電気製品に明示してあるワット数とはどのようなものであるか、理解させておくことが必要である。それには、図1の回路で直接AC100Vに接続し、数種類の電気製品で、電力が電流×電圧に等しいことを示し、電流の大きさに応じて仕事の大きさが異なることを理解させる。以上のことにより、電気製品は電流を制御する働きを持ち、さらに電流の流れを制御することが抵抗という概念につながり、オームの法則の理解へとつながっていく。

3. 効果について

 従来までの実験と比較すると、オームの法則が身近なものとしてとらえることができるようになった。また、写真に示したように、透過式のメータを用いて実施したことにより、パフォーマンステストとして取り扱えた。そのため、生徒個々の能力を知る手がかりが得られた。
 

 

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