福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -018/038page

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プロジェクト研究報告

自己教育力を育成するための

学校教育の改善に関する実践的研究(その2)

科学技術教育部

小学校における研究実践

〔1〕教育実践にあたっての基本理念

 自己教育力の育成は、小学校教育の目的・使命を考えれば、すべての小学校の目標に内在されるものであり、それ自体、即、実践目標となり得るものと考える。したがって、現在の学校における「教育目標」や「教育課題」等を検討していく過程で、教師自身がこれらの趣旨を十分理解した上で、児童一人ひとりに、自ら学ぶ意志・態度・能力を形成されるべく、努力することが必要である。
 そのために特に考慮すべきことを次にあげる。

  1. 地域における自己教育カ育成のための素材を選びだし、これを実践に結びつける。
  2. 教師自らが「自己教育力を高めるための実践」を行う。
  3. 児童の心身の発達段階に応じた指導を行う。
  4. 学習の仕方、取り組み方、考え方等を各学年の発達段階を考慮し、できるだけ作業的な方法を取り入れるとともに「教師の持ち場」「児童の持ち場」を明確にして、それぞれの活動場面を生かす。
  5. 「生き方の探究」については、毎日の学校生活において"人"としての正しい行動や精神を培うため、相互に連体感を深めることに努め、望ましい人間関係をつくりあげる。
 このように、地域に密着し、児童一人ひとりの個性を重視した考えを「教育目標」や「教育課程」等の中に取り入れ、これらの指導を継続して行うことによって「自己教育力」が育成されるものと考える。

〔2〕理科指導での具体的な取り組み

 児童一人ひとりのもつ問題点を評定尺度II(所報81号P21)の事前調査によって発見し、それらを解決するために、a 「指導目標、内容や教材の分析・構想表の作成」、b 「指導過程の工夫」、c 「自ら学ぶ意志や態度の育成のための教育的措置を意図的に取り入れる」、d 「学習態度の訓練の強化」等をはかることに着目して授業を進め、特に陥没している項目A、E、G、Hの補完の手だてとして次の点に留意した。

A 「問題意識をもって、物事を見ようとしているか」
・事前調査を行い、疑問点や調べたいことを挙げさせ、学習計画を立てる。
・問題意識を誘発する事象提示(先行経験と矛盾する比較事象の提示)の工夫。
・ノートによる疑問点の確認。(前時の「感想」の中から)

E 「主体的に目標を設定しているか」
・課題提示ではなく、課題把握のための場の構成。(グループ、一斉の話し合い活動や個人のつぶやきを取り上げる)
・話し合い活動(学習訓練)の徹底。

G 「問題解決にあたり、自ら工夫し的確に行動しているか」
・児童の発想を生かした観察・実験の工夫。(教材・教具、時間の確保)
・観察・実験の個別化、小集団化。
・工夫した者への賞賛の場。(ノート、観察、発表)

H 「学習した結果を次の学習に生かしているか」
・ノートの整理。(学習訓練)
・自己・相互評価。
・次時の予告における事象提示の工夫。 

 

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