福島県教育センター所報ふくしま No.82(S62/1987.8) -022/038page

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研究プロジェクト

「自己教育力を育成するための学校教育の改善に関する研究」

昭和62年の実践

科学技術教育部

 この研究は、61年度より2年計画で行われているもので、今年度はその2年次に当たります。
 61年度の研究内容については、中間報告という形で研究報告書を、各学校や関係機関に送付しました。また、今年度当初より本誌に連載という形で掲載させて頂いておりますので、お読み頂いているものと思います。
 62年度の研究については、研究指定校や研究協力者の協力を得て進行中でありますが、その研究の進め方や考え方などについて報告させて頂きます。

1.61年度の研究の成果と問題点

 自己教育力が育成された状態像を設定し、それにもとづいて作成した評定尺度による事前調査結果によって陥没要素を把握し、その陥没要素に的を紋って計画的に指導しました。その結果を事後調査の結果と比較するとほぼ陥没要素は補完され、所期の目的は達成されたように思われます。しかし、それぞれの項目について分析すると次のような問題点が考えられました。

(1) 「困難に立ち向かい解決するまで努力し続ける強い意志を抱いているか」と、「生きることに喜びを感じ、充実した生活を送っているか」などの項目については、事前・事後の調査ともに、小学校の低・中学校では、高い値を示したが、学年が進むにともない低下するという傾向がみられた。

(2) 事前調査による陥没要素であった項目について、実践指導後の事後調査の結果を全体的にみると、陥没要素が補完され、向上の傾向が認められる。しかし、学年ごとに見ると伸びの幅が高学年ほど少なかった。このことは、子供の心身の発達段階の特徴的傾向とも読み取れるが、高学年になるほどそれぞれの個性に応じた指導を行うなど、指導の方法を考えなければならないようにも思われる。

(3) 事前調査の結果と、事後調査の結果を比較すると、学級全体の平均値では、向上の様子がみられるが、児童・生徒を個々にみると中には、伸び脳んで低くとどまっているものや、事後調査の方がかえって低くなっているものなど、個別に指導しなければならないと思われるものもみられた。

2.62年度の研究の視点

 研究協力校においては、学校の教育目標を自己教育力育成という視点で見直し、各教科・道徳及び特別活動、並びに各校務分掌の努力目標との間に有機的な関連を図り、学校教育活動に具体的に機能するように構成する。
 実践指導の場においては、自己教育力の育成は、個人の変容が本来の趣旨であることから、このことに視点を当てるようにする。
 すなわち、前年度の評定尺度による事前調査と事後調査の結果では、各学年とも向上はしたが、高学年になるほど低くとどまっていることや、低学年においても、児童・生徒を個々にみると全項目について低くとどまっているもの、そして、一部の項目が特に低い値を示しているものなどがあり、その理由や原因を追求するため、研究対象を個人及び小集団にあて、研究を進めるようにする。

3.研究の進め方

 研究対象の児童・生徒は、原則として前年度からの継続とし、前年度の資料により抽出した個人を対象として実践を行うことにした。しかし、教科担任の変更などにより、今年度新たに対象となった児童・生徒に対しては、2ケ月間ほど全体的な指導を行い、その後の評定尺度による中間調査

 

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