福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -002/038page

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<所員個人研究>−小・中学校特別活動−

主体的態度を育てる特別活動の評価

−自己評価、相互評価を中心に−

学習指導部  佐久間 功

はじめに

 教育課程は、「教材中心型」と「学習者中心型」の二つに大きく分けられる。前者が主に教科とすれば、特別活動は後者に属する。いわゆる教科以外の活動の分野に属する特別活動は、あくまでも学習者である児童生徒の自由な、自発的な必要や興味・関心に基づく学習活動を基盤にするものであり、かつそれ自体を目標とするものである。すなわち特別活動は、学習者中心であり、経験中心、生活中心、実践活動中心として集団の中で行われるものである。"集団活動を通してなすことによって学ぶ教育活動である"といわれるゆえんがここにある。したがって、教科の指導とは異なった教師の考え方による児童生徒への対応が要求されるし、教師と児童生徒との人間関係の面でも、さらに踏み込んだ形での触れ合いが求められる。このような特質を持った特別活動における教育実践を通して、困難な点としてよく耳にするのが「評価」の問題である。その主たる原因として考えられることは、特別活動においては、児童生徒の実践活動が中核になりその活動も多岐にわたって行われるという、前掲の特別活動の特質が挙げられる。しかし、このような困難な評価においても、より高次な教育活動を目指すための新しい計画作成の基盤になる評価をおろそかにしては、児童生徒のより主体的な活動を展開させることはおろか、自主的・実践的態度を育成することは望めない。

 そこで、児童生徒の望ましい行動の変化、すなわち、児童生徒全員の主体的参加による自発的・自治的な実践活動をより促進し、特別活動の目標の達成を目指すために、その評価の在り方について考えてみたい。

1.特別活動における評価の特質

 特別活動には、学級を単位とした活動と、学級や学年のわくを外した形で組織される集団の活動がある。このように、さまざまな集団に所属して活動することから、児童生徒の人間関係は多様になり、同時に生活経験も豊かになり、それらの過程において、所属する集団生活の改善向上に努めようとする自主的・実践的態度が形成される。それ故、特別活動の評価は、たとえ対象が個人に向けられていても、その背景にあるその個人の属する集団の姿を抜きにした評価は考えられない。すなわち、児童生徒が集団にどれだけ寄与したか、また集団が個人をどれだけ生かしたかというように、集団と個人とのかかわり合いにおいて評価するところにその特質がある。さらには、児童生徒の実践活動を見取ること、全校の教師が携わること、発達段階が異なる児童生徒を対象とすることなどの特別活動の特質からくる評価の特質も見逃すことはできない。

2.評価の基本的な考え方

 特別活動の評価を考えるにあたっては、活動の成果についての評価も大切であるが、より以上に活動の過程を一層重視していくことが極めて大切である。なぜなら、集団活動の中で自らの問題を自ら発見し、考えを深め、正しく判断し、そして実践するという一連の活動過程の中で、児童生徒の主体的な態度が形成されるからであり、主体的態度の形成は、とりもなおさず特別活動のねらう自主的・実践的態度の育成に直結するものだからである。

 その過程における評価においては、児童生徒の自己評価や相互評価が重要な役割を果たす。特別

 

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