福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -003/038page

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にするためには、児童生徒が自己理解を深め、自分自身の問題として受け止め、更に、自己改善を志向する過程を経なければならない。すなわち、自己理解や自己改善をいかに促すかが重要であるが、そのためには、評価の主体者を学習者である児童生徒自身におき、そこからなされる評価が最も有効であると考えるからである。この意味において、自己評価や相互評価を、自己学習活動として意図的に指導過程の中に位置づけ継続して行わせることは、特別活動の評価を考える上で極めて重要な視点であるといえる。

 そこで、主体的態度の育成の視点から、自己評価と相互評価を中心にした評価活動の在り方について述べていくことにする。

3.評価(自己評価、相互評価)活動の在り方

(1)特別活動の評価における自己評価、相互評価の位置づけ

自己評価、相互評価の位置づけ

 特別活動の評価の対象として、指導計画の評価、指導方法の評価、集団の発達の評価、個人の発達の評価が挙げられる。児童生徒の自己評価、相互評価は、右の図でもわかるように集団の発達・個人の発達の評価に直接的に深くかかわり、全体の評価の中核をなすものとして位置づけられる。

 また、「特別活動の評価」(文部省)によると、観察法がよく用いられるとし、更にその短所を補うために、質問紙法、自己評価・相互評価を挙げている。自己評価・相互評価の具体的方法については、作文、学級日記、グループ日記、ゲス・フー・テスト、討議法があると述べ、重要な評価方法として位置づけている。

(2)児童生徒の自己評価、相互評価を効果的に行うために
 1.評価構想=教師の評価活動に支えられた児童生徒の自己評価、相互評価

 児童生徒の主体的態度の育成に深くかかわる自己評価、相互評価をより効果的に行わせるためには、教師による評価活動が絶えず行われなければならない。そして常に、児童生徒と教師の両側面からの評価のかかわりを構想し、どんな評価用具で、どんな内容で行うかを明確におさえて指導にあたることが大切である。
集団活動を通しての児童生徒の活動状況
教師の評価活動 座席表 諸活動、指導での発表内容

主題の理解度など

チェック・リスト 話し合い、実践活動での参加度、活動状況、発言量
諸調査・検査 集団活動についての参加意識、興味・関心・態度など
指導記録 活動状況について事実の記入
教師間の連携 諸活動に関する情報の収集・反省・評価など
↑ ↓
児童生徒の評価活動 自己診断テスト 集団活動への参加態度、実践活動の到達度など
ゲス・フー・テスト 集団活動への参加態度や実践活動での顕著な者の選択
記録ノート 活動状況の事実を自由に記録
活動記録 諸計画、活動の実際についての事実の記録
作文・日記等 活動や参加についての感想や意見
 
総合的理解と評価、主体的態度を育てる指導

 2.自己評価と相互評価のとらえ方

 自己評価は、自分の発達の状態や自己の特質の把握を通して、自己理解を深めさせ、自発的な自己指導への取り組みを意欲的にさせるのに効果がある。更にそのような相互作用を通して、課題解決への意欲を高め、自主的、自律的に生きる力を身に付けさせるのに有効である。一方、相互評価は、客観性、信頼性が高く、教師の把握しにくい児童生徒の行動、性格、人間関係などを知るのに有効である。これらから、自己評価は、児童生徒の内面に切り込み個々の意識を高めるのに適しているのに対し、相互評価は、集団内での個のかか

 

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