福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -004/038page
わりやその特性を把握するのに適しているのがわかる。両者のもつそれぞれの適性を十分見極めた上で、評価のねらいに応じて活用することが大切である。
(3) 自己評価、相互評価を生かした指導例
ここでは、指導計画と評価票の作成例について触れる。
1.指導計画の例
日ごろの指導にあたっては、自己評価、相互評価の場や機会を、教師の評価活動と対応して意図的・計画的に指導計画の中に位置づけ、継続して実擬することが大切である。
次に、小学校の児童会活動における委員会活動(整美委員会)の指導計画作成の一つの例を、下の表に示す。なお「活動のねらい」「評価の観点」は、次に示すとおりである。
<活動のねらい> 仕事の内容をみんなで考え、役に立つ委員会にしよう。
みんなで協カし合える楽しい委員会にしよう<評価の観点>
段階 活動の過程 指導の過程 評価の観点 評価の場面と用具 委員会の組織作りの段階 ・今日の話し合いのねらいについて確かめる ・整美委員会の仕事のあらましについて前期の活動状況を確認しながら話し合う。
・活動のねらいについて話し合う。
・リーダーの仕事について話し合う。
・仲間の意見を大切にし、みんなで協力して楽しく仕事ができるようにする。
・委員長
・副委員長
・書記
・リーダーを選出する。
・委員会の仕事や活動のあらましについての基本的な事柄について再確認をする。 ・リーダーの役割、リーダー・メンバーの協力の大切さについて助言する。
・活動のあらましがわかったか。 ・話し合いに積極的に参加し活動のねらいが自分のものとして受け止めることができたか。
・リーダーとしての仕事の内容がわかったか。
・リーダーとなったものは、その意識が持てたか。
・メンバーとしての心構えができたか。
・リーダーとしてふさわしい人物が選出されたか。
・自己評価カードに記入させる。 ・チェック・リストによる自己評価
・観察(教師が観察カードに記入する)
・発表のしかた、話の聞きかた、参加態度
・相互評価
活動計画立案の段階 ・今日の話し合いのねらいについて確かめる ・活動の計画を立てる。
・これまでの活動を振り返る。
・やらなければならない仕事の内容。
・やってみたい仕事や仕事の内容。
・日常活動と特別な活動から考える。
・活動内容を分類し、その具体的活動方法について話し合う。
・いつ、どのような方法で
・どのように分担して活動するか話し合う。
・グループ分けと分担
・グループ内リーダーを決める。
・各グループの計画を発表し合いよい点を学びとる。
・定例委員会の話し合いの内容を話し合う。
・一週間の反省を各グループごとに出し合い、その対策を全員で考える。
・一人一人にカードを配って書かせ、紙にはって資料にさせる。 ・具体的な活動場面で、どのように行うかをよく話し合わせ実践への見通しを持たせる。
・グループ分けは、男女、学年学級に片寄りのないようにさせる。
・これまでの活動を振り返り改善しようとしているか。 ・自分のやりたいことが発表できたか。
・計画に生かそうとしているか。
・委員長、副委員長、書記はリーダーとしての役割を果たしているか。
・何をどう行うのか、どんな点を工夫すればよいかなど実践への見通しが持てたか。
・仕事の分担ができたか。
・みんなで協力できるグループ分けができたか。
・実践への意欲が芽生えたか。
・チェック・リストによる自己評価 ・観察(観察カードへの記入)
・チェック・リストによる自己評価
・相互評価(チェック・リスト使用)
・観察(教師が観察カードに記入する。)
・チェック・リストによる自己評価
・活動記録による点検
・事後の段階 ・自己評価、相互評価をする。 ・委員会活動について自分の考えていることを理解する。
・活動の内容や方法、仲間の人間関係について意識調査する。 ・委員会活動についての意識はどうか。 ・めあてを理解しているか。
・自分の分担した仕事が明確にわかっているか。
・具体的方法が理解されているか。
・リーダー・メンバーの協力体制が確立されたか。
・興味・関心・満足感はどうか。
・活動の意欲はどうか。
<児童の評価活動> ・選択肢
・自由記述
・ゲス・フー・テスト
・活動のねらいや主な内容についてわかり、その仕事を遂行しようとする意識が高まったか。
・好ましい仲間意識が作られたか。自己評価、相互評価をするための評価票を作成するには、それぞれの段階における指導目標を分析して、指導の項目を洗い出さなくてはならない。そして、それらに対応する評価の観点を明らかにし、その観点を踏まえて作成することが大切である。