福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -007/038page

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法則」についての思考や理解の到達度を見たところ、学習の不安定、問題の不適切さを確認することができた。(図1 S-P表)

(1)  学習の診断
 生徒番号31、3、13、25、11の注意係数は0.5よりも高く学習の不安定を意味してるが、正答率を見ると75%を超え、これまでの到達度からみてもケアレスミスと考えられるので、文をよく読んで答えるようアドバイスすることができた。しかし、生徒番号33、35の生徒は注意係数が0.5を超え、正答率も低く、学習の不安定なところがあると考えられた。またこれまでの結果を合わせて診断してみると、継続的な課題学習による個別指導によって学習効果の向上が期待されると考えた。生徒番号19、32の生徒は、注意係数、正答率、学習への取り組みからみて、学習意欲の高まりがみられないことから、学習に集中できない問題を抱えているのではないかと思われた。早い時期に個別面談などを通して深く抱え込んでいる問題を解決していく必要がある。

(2)  問題の分析
 問題番号13の注意係数は、0.940と高く、氷の結晶構造が水素結合によるという特徴を理解していないことになる。この問題の内容を検討してみると「氷の中にある1個の水分子中の酸素原子は何によって隣接する水分子の水素原子と結合しているか。」という問題で、多くの生徒には問題そのものをよく理解できなかったのではないかと思われた。もっと具体的にする必要があると判断できた。問題番号14、15、16も同じ系統の問題であり、それぞれ注意係数が高いことから、問題そのものを検討していく必要があることを示唆していた。また、注意係数の高い問題の問題番号4は気体の密度を求める計算ができなかった。計算力の不足によるミスもあったが、密度そのものの理解も不十分であった。問題番号2、3、4は混合気体の圧力の問題で思考や理解が十分でなかった。この結果をふまえた混合気体の圧力の指導については、次項の授業のシステム化のところで述べることにする。

4.授業のシステム化

 教科の目標達成を最も効率的に行うためには、指導目標、指導内容、指導方法、施設設備、教育媒体、学習形態などを最適に組み合わせ順序立てて授業を行い、その結果を評価して組み合わせを変えたり、よい組み合せを捜したりすることが大切である。指導案を作成するときは、少なからず授業のシステム化を考えながら作成するものであるが、システム化の手順を明らかにしておくことは少ない。

(1)  授業のシステム化の手順
 指導案を作成するにあたって、授業の進め方の上手な先生の指導を参考にできると大変よいものである。指導の上手な先生は、指導案の中に分岐型の指導案があり、生徒の理解

図2  授業のシステム化の手順
図2 授業のシステム化の手順

 

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