福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -009/038page

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については、混合気体の全圧との関係において扱う。…」とある。このことを十分に考慮して計画を立てなければならない。

  1. 目標の設定
     生徒にとって空気は身近な理解し易い混合物と考え、空気中の窒素と酸素の体積比、全圧、分圧を理解させるのによい混合物なので、空気に関した内容のものを到達目標にし、その目標に迫るための下位目標を2つ設定した。
  2. 分岐型プログラムの作成
     太い枠と線で書かれているコースはそのクラスでは比較的できる生徒の学習行動を想定したコースである。太い線の直線型から分岐型へのコースは理解できなかった生徒のためのコースで、進むステップは小さい。そのうえに最も理解に抵抗を示す生徒を想定して、もう一つのコースを用意した。しかし、理解できないからといってすぐに分岐型のコースに進めないで、じっくり考えさせる時間を与えてやることが大切である。
  3. 学習指導法と指導形態
     発見型、誘導発見型、誘導型と用意しておく。発見型のコースは短時間で進むと予想しているので、発展問題を用意しておく。このコースで進めば1時間内には十分消化できる内容である。誘導型は小集団、個別指導を中心として生徒を引っ張り上げていくことが必要である。
  4. チェックポイント
     教えたことをすぐ確認ができるよう適切に設定する。確認の方法は、挙手による確認が無理がない。
  5. 教育媒体の使用
     ここでは、一斉指導を中心にTPを使用する。そうでないとどの生徒も気になって関係のないTPを見てしまうからである。
     また机間巡視では個別指導中に思わぬノートのミスも見つけることがある。そのミスが理解を困難にしていることも指摘することができる。
     このような指導計画表を作ることによって自分の授業をシステム化することになり、指導過程が明確にみえ、生徒への対応がしやすくなってくることは明かである。

5.まとめ

 今回は、S−P表で授業を分析して授業のシステム化をはかることについて述べたが、本来的に教育のシステム化を進めていかなければならないところはたくさんある。教育機器をどこでどのように使用していくか。TPをどこで用いるのが適当かなども含めて、それらをシステム化していくことが、自己教育力を育てるための基盤になるものと考える。

 生徒は知識的な内容についてはテストをすると到達度が高いが、思考や理解を見ると到達度が低いものである。これは一概にはいえないが学習の仕方が記憶的で、教科によっての特徴など考えず同じような学習の仕方になっているからではないかと思われる。このことについては今後も検討していかなければならない。

6.おわりに

 S-P表はテストの平均点から分かることよりも、授業分析や学習診断のための多くの情報が得られる。分析結果が見やすいので、パソコンの普及にしたがってもっと多くの方に利用していただけば、互いに情報の交換ができるようになる。また、当センターでは小中学校の教育工学講座でコンピュータによるS-P表の作成と授業分析の紹介をしている。最近、マイクロソフト株式会社から発売になったマルチプラン3.1は行の並べ替えに加えて、列の並べ替えもできるので、このソフトを利用してS-P表を作ることもできるようになった。

く参考文献>
佐藤隆博  SP表の作成と解釈   明治図書
坂元 昂  教育工学の原理と方法 明治図書
高等学校学習指導要領解説 理科編 文部省
教育工学研究会 教育工学の新しい展開 第一法規

 

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