福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -018/038page
(2) 検証と考察
1. 検証の観点
ア. 問題場面に応じ、どのような図や表を用いて解決しようとしているか。その傾向を児童の学習ノートからとらえさせる。
イ. 落ちや重なりが生じてくるのは、どんな操作活動を行った場合か。また、操作活動後の記録整理には、どんな問題点が見られるか。観察チェック表を用いてつかむ。ウ. 事前、事後、把持テストを実施し、有効度指数及び把持率を求めて、個人及び学級全体の変容をみる。
2. 授業の考察
ア. 前時の学習と本時の学習のちがいを表と図という対比でとらえさせたことは、課題提示の学習段階から円滑に授業を進める結果となった。
イ. 順列を求める学習において、表から図への変形を自作のTPを使って指導した。そのTPは、予想される児童の思考過程を順々に合成したものであったため、児童の反応がにぶってきたときの手助けやヒントとなり、たいへん有効であった。このことは、仮説の一部分である「児童自身に作らせ。」の内容が、大いに影響しているためと考えられる。ウ. 1つを固定し、他を変化させる場合、どの項目から固定していくのかという固定の順序性をはっきりとらえていない児童は、操作活動において落ちや重なりに気づいていない。
エ. 順序を求める場合、図と表とでは、どちらが使いやすいかを、検証授業後に38名の児童に調査してみた。その結果は、次のとおりである。
- 表のほうがよい・・・・・・・・21%
- 図のほうがよい・・・・・・・63%
- どちらだかわからない・・・・・16%
上記の結果から、かなりの児童が図を活用していくよさに気づき、理解していると言える。
オ. 9名の学力の低い児童が、1つを固定し、他を変化させる考えが十分に身についていなかったので、具体的な操作活動を通して個別指導をしたら、理解してくれた。3. 事前、事後、把持テストの結果
ア テストの問題の内容
1. 「1」、「3」のカードが1枚ずつあります。このカードをならべて2けたの整数をつくります。2けたの整数は、ぜんぶで何とおりできるでしょうか。 2. 「1」、「3」、「5」の力一ドが1枚ずつあります。このカードをならべて3けたの黎数をつくります。3けたの整数は、せんぶで何とおりできるでしょうか。
3. 「1」、「3」、「5」、「7」のカードが1牧ずつあります。このカードをならべて4けたの整数をつくります。4けたの整数は、ぜんぶで何とおりできるでしょうか。4. 「0」、「1」、「3」、「5」のカードが1枚ずつあります。このカードをならぺて4けたの整数をつくります。4けたの整数は、ぜんぶで何とおりできるでしょうか。
5. 「1」、「3」、「5」、「7」のカードが1牧ずつあります。このうちの2枚をならべて2けたの整数をつくります。2けたの整数は、ぜんぶで何とおりできるでしょうか。6. メダルを続けて3回投げます。このときの、表と裏の出かたは、せんぶで何とおりあるでしょうか。
7. 5円玉、lO円玉、50円玉、100円玉が1個ずつあります。このお金を2個組み合わせてできる金額は、ぜんぶで何とおりあるでしょうか。8. かごに3種類のくだもの、りんごとなしとかきがあります。箱には2種類のケーキ、イチゴケーキとチョコケーキがあります。かごと箱から好きなものをそれぞれ1個ずつ取って、くだものとケーキの組み合わせをつくります。組み合わせは、ぜんぶで何とおりできるでしょうか。