福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -020/038page
<研修者研究報告>−教育研究法講座 中学校
「英語で表現する力」を育てる手だての工夫
安達郡大玉村立大玉中学校教諭 菅野 真智子
1.研究の趣旨
(1) 研究の動機とねらい
英語の学習においては、学年が進むにつれて学力差が広がり、興味関心を失っていく生徒が多い。これは、学習量の増加にともない理解できないという理由のほかに、日常の授業において、知識の習得に追われ、生きた言語としての働きが見失われていることにも一因があるように思われる。そこで、英語の授業では、教科書の言語材料をしっかり理解させた後、それを活用して自分に身近な事柄や与えられた条件について、自分の発想で話したり書いたりする表現力を育てていくことが重要であると考える。英語で表現する力を育てるためには、授業において、どのように指導の手だてを工夫すれば良いかをねらいとして、本主題を設定した。
(2) 問題点
標準学カテストの結果を見ると、「聞くこと、話すこと」「書くこと」の正答率がやや高くなっているが意識調査の結果によると、表現活動に興味を持っている生徒は、全体の約37%である。また、興味は持ちながらも、難しいからと消極的になっている生徒が45%いる。このことから、より豊かな表現力の育成に結びつける指導がさらに必要であると考える。(表3) 標準学カテスト領域別正答率
学年 全国 学年正答率/全国正答率X100 聞くこと・話すこと 66% 59% 112
読むこと
55 54 102
書くこと
50 47 106
全体
57 53 108
(3) 原因
<教師側>
<生徒側>
表現活動に積極的に取り組めない原因は、一部には意欲の欠如もあるが、表現したいと思う内容に対して、単語や文型など言語材料の知識不足によるところが大きい。また、「表現したい内容が思い浮かばない」という生徒も多い。
・今までの表現活動は、個人やペア活動が中心で、グループ学習は取り入れなかった。また、「書く」表現活動は、主に家庭学習として行わせ、授業の中での位置づけが十分でなかった。
・入門期では表現活動を多く取り入れるのだが、学年が進むにつれて、言語材料の理解を目標とした学習活動が中心となってしまいがちである。2.仮説
(1) 仮説のための理論
1. 表現活動
表現活動は、主に「話すこと」「書くこと」によって行われる。自分自身や家族、友人のことを表わしたり、絵などを見て自由な発想で創作したりする等、多様な方法で意欲の持てる表現活動を進めていく必要がある。2. 表現活動の方法
<基本文に関する表現活動>
表現活動の方法として次の二つに大別した。
文型や単文練習を主体とした日常の授業で実践可能なもの。学習した基本文を応用して、生活に結びついた自己表現の文を作らせたり、ペアで対話させる。
<総合的な表現活動>
自由な発想で、既習事項を駆使し、内容的