福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -026/038page

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例が多い。そこで本校では、電気低温器を使ってその中で幼虫を飼育してきたが、たいへん良好であった。水温は、夏季で20℃前後、冬季には8℃前後に調整され、外部からエアーポンプで空気を送るようにしている。 電気低温器の中での幼虫飼育
電気低温器の中での幼虫飼育

(3)  カワニナの飼育

 幼虫の餌となるカワニナは、循環式の大型水そうで飼育している。カワニナは水さえ流れていれば、飼育は容易である。餌は野菜くずならなんでもよいが、特にジャガイモをよく好んで食べる。

 カワニナを飼育している水そうは、45X40×190pの大きさがあり、上部から下方へ水が流れ込む構造になっている。理科担当の先生方が設計して、業者に委託して製作していただいた。

 カワニナは、市販の上部ろ過式の水そうであれば十分飼育可能で日当たりのよいところに置くとよく稚貝を産むようである。
ホタルの幼虫の餌となるカワニナ
ホタルの幼虫の餌となるカワニナ カワニナを飼育している水そう
水そうは透明アクリル板でつくられている。
(4) 飼育活動を、特別クラブ活動に位置づける。

 特別理科クラブの子どもたちが行っている飼育活動のおもなものは、

  1. ホタル幼虫にカワニナを与える。
  2. カワニナ水そうの水の交換および餌の補給
  3. 電気低温器の作動状況、水温・水質の確認
  4. 飼育日誌への記録
などである。
 幼虫を飼育しているほうろうバットの水は、3〜4日に1度の割で交換しなければならないが、特にふ化したばかりの幼虫は、体長が2ミリ前後しかないため、作業には非常に神経をつかう。なかなか子どもたちだけではできないのが実状であり、教師の援助が必要となる。

 一年間単調な仕事が続くが、翌年まで幼虫を育て続け、川に放流する時の喜びは大きい。

ホタルの放流式
ホタルの放流式
4.おわりに

 本校で行っているホタルの飼育活動は、極めて小規模のものであるが、手順さえ正しくやれば、どこでもできるものである。

 現在は施設の面で、約1,000〜2,000匹程度の幼虫飼育が限度である。本校では、電気低温器を増設して、さらに飼育数を増やしていく予定である。

 子どもたちは、小さな容器の中で動きまわるホタルの幼虫が、夏の夜空に光を放つことを願って飼育にとりくんでいる。今後もさらにホタルの養殖にはげんでいきたいものである。

 

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