福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -030/038page
2.追究のてだてと実践
前述した評定尺度による調査によって、「問題意識が低い」等、生徒の実態が明らかになったので、これらを補完するために次のことを追究・実践することにした。(1) 単元の目標分析
観点別(知識、理解、観察、実験の技能、科学的思考、自然に対する関心・態度等)に到達目標を明らかにし、行動目標で示す。その1例として単元「力のつりあい」についての目標分析を次に示す。
(2) 教材の分析表の作成教材の精選と重点化をはかること。探究学習をさせること。課題を構成させること。個人差に応じた指導をすること等を目的として、単位時間の教材を、基礎事項、核教材、周辺教材、習熟一般化、発展教材、留意事項の6項目に分析する。
「力のつりあい」についても6項目に分析した。(3) 学習課題の設定の工夫
単元の導入や単位時間ごとの導入において提示する教材を工夫し、課題意識を高め、主体的に課題を設定させ、追求させるようにする。そのために、できるだけ生徒の好奇心や探究心に訴えるような課題性のある教材・教具を選択、開発していく。ここでは生徒が自ら課題意識をもって問題解決に取り組ませるため、小単元の導入時に1つのリングを3台の車で同時に引かせる場面を観察させ、気づいたこと、疑問に思ったこと等を配布した観察カードに記入させ、発表させることによって、力の合成、分解、力のつりあいに関する学習課題を把握させた。(4) 「自己評価の力」を育てる評価の工夫
形成的評価、自己評価、相互評価などを工夫して実施することにした。1.学習目標に従って問題を作成した形成的テスト(確認テスト)を実施することによって生徒は自分のつまずきを知ったり、できた喜びを味わったりして意欲的になり、基礎的・基本的事項の定着がはかられるし、一方、教師は実施後に結果を処理することにより具体的なフィードバックの計画を立てたり、ねらいである行動目標の到達率や個人の到達度を把握したりすることができ、指導の改善に役立つと考えた。
2.自己評価については次に示すような目的で、自己診断表に、単位時間ごとに決められた観点に対する到達度を3段階でチェックさせ、更に授業の感想も記入させた。
- 学習課題の到達度を明確にして指導の改善に役立てる。
- 学習課題に対する取り組みのようす等、情意面の評価に役立てる。
- 本時のつまずきの箇所を明確にして、次時のフィードバックの計画や授業展開の工夫に役立てる。(形成的評価の機能をもった自己評価)
- 学習課題や教材に対する意識を知る手がかりとする。(感想)
- 生徒自身に目標達成の喜びを感得させるとともに新しい課題を自覚させる。