福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -031/038page

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 また、単元の導入時に教師が事象の提示を行った時、それに対して生徒がどのように興味・関心を示したか、学習目標を一人一人の生徒が自らの課題として主体的・積極的にとらえたか等を自己評価させると同時に自己の目標を設定させた。これによって生徒の課題に対する問題意識が高まり、単元全体の学習に見通しを持つことができ、意欲的な学習態度が形成されると考えた。

3.相互評価は主に技能に関するものを見ることにした。

(5) 個人差に応じた教材・教具の開発

 生徒一人一人の探究活動を通して問題解決能力を高めるために、達成度としての学力差と興味・関心の異なる個々の生徒に対応できる教材・教具を開発していくことに努めるとともに、常に生徒自身に見通しをもって課題を解決させていくことをねらいとし、生徒の発想に基づいてそれぞれ教具を製作させ、それによって実験を行い、結果を求めさせるように配慮した。

3.課題の把握に重点をおいた学習指導の展開例

(1)単元名:力のつりあい

(2)単元設定の理由:ここでのねらいは、自然現象の基本要素である力の性質やはたらきを理解させ力の量的な見方を養うことである。力の学習は抽象的なので、生徒の日常の経験を引き出し、実験によって具体的な形で学習を進めるようにしたい。

 観察・実験をするにあたっては、個人やグループごとに観察・実験の計画をさせることによって生徒の発想を生かしたり、生徒の学力差や興味・関心に応じた教材・教具を用いたりする等、個人差に応じた指導をして行きたい。

(3)単元の目標:観察・実験を通して力の合成・分解について理解させ、1点にはたらく2力、及び3力のつりあいの条件を探究的に考察させる。

(4)指導計画:総時間10時間、本時は9時間目

(5)展開(下にその一部を示す)

本時のねらい:1点にはたらく3力のつりあいの条件を発見させる。

○計画に基づいて個人またはグループで実験を行い、データを収集することができる。
○2力のつりあいの条件から3力のつりあいの条件を見つけることができる。
○具体的事象について3力のつりあっている箇所を指摘することができる。

〔3〕事後調査の結果と分析

1.学級の全体的変容

   評定尺度IIによる調査では、事前に陥没していた項目A(問題意識3.0→3.5)、項目E(主体的な目標の設定3.2→3.3)および項目H(学習結果を次時に生かす3.1→3.3)がすべて好転している。

 特に項目Aの増加が著しく、事前よりやや低下したとはいえ高い評価を持つ項目B(問題解決への取り組み4.0→3.9)とあいまって、生徒の問題意識は高揚され、主体的に課題を設定しようとしているようすが明らかにみてとれる。

 また、学年進行とともに低下する傾向にあり、特に中学1年から2年にかけて低落する項目L

展開

 

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