福島県教育センター所報ふくしま No.84(S62/1987.12) -019/038page

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  1. 心に残るとしたものが、わずかに13%であるが、実践しているとする順位が10位の20「老人やからだの不自由な人をいたわりなさい」がある。
  まさに、本校の交流教育(心身障害児理解推進校、60・61年度文部省指定)の成果であるように思う。心に残ることばを実践に結びつけたのではなく、実践によって、身障者に対する理解とおもいやりが育まれその感動が心に残ることばになったと思う。

(5) 教化 (その3) 表3
・先生に言われたことばに印象強く残っているものがあるか

 男女共に42%が印象強く残っている。回答なしを含め残っていないとするものが58%、比較する資料がないので、結果の多少を論じられないが、予想より残るとする数が少なかった。

(6)教化 (その4) 表4

・強く印象に残っていることばにどのようなものがあるか。
  1. 子ども達が印象に残っているとされるこれらの言葉が出た状況・背景にこそ、ごくありふれた言葉であっても、時を得て、所を得て、そして人を得たということばの重みを感じる。
  2. 不合理と思っていることぱにも、われわれ教師は謙虚に耳を傾けたい。
5.研究のまとめ
(1)教師の何気ない言動が子どもの心琴にふれたとき、子どもの心に一生の糧になることもあることを厳粛に受けとめたい。

(2)多くの教師の言動に深い愛情と使命感をもって、子どもに接していることが理解できた。
 しかし、子ども側からは、教師の指導的意図の強い言動より、むしろ教師の日々の生きざまそのものから発せられた言動にこそ、子どもは同一化しようという傾向がみられる。また、説諭的な言葉より、身近な基本的生活に密着したことばに意識化することを知った。

(3)子どもを遠景において論議せず、子どもは教師をどのようにとらえ、何をどう学び同一化しようとしているか、子どものことは子どもに聞くのが原則で、子どもの心を真に理解し対応できる生徒指導こそ重要であろう。

6.今後の課題

(1)臨教蕃で徳育の充実をうたい、その方策として、基本的な生活習慣のしつけ、自己抑制力、日常の社会規範を守る態度の育成を重視している。本研究から改めて、教師の言動による影響が大なることを自覚して、教師自らが律し、子どもの生活に結びつき、子どもの人間形成を目ざす道徳教育、生徒指導につとめたい。

(2)尊敬・奉仕・思いやりといった面で、指導の方策をより具体的にたてていくことを考えたい。

(3)この調査をさらに吟味して、より幅広く組織的に、また、親の教化・感化力を調べ、教師のそれと比較検討してみたいと思う。

(注)感化・教化の意味するもの
※広辞林
 ○感化・・心によく感じさせて、いい方向にうつらせること。
外界の影響によって、自然におこないのかわること。

 ○教化・・導いて善の道に進ませること。教え導くこと。教え。

※Oxford Advanced Learner's
 ○Influence(感化)・・人の模範となったり、畏怖や賛美の念をおこさせたりすることを通して、人の性格・信条・行動等に影響を及ぼすカ。
 ○Enlightment(教化)・・人により多くの知識を与えること、無知誤解あるいは間違った信条から解放すること。

参考文献

自己愛人間     小此木啓吾著  朝日出版
先生と生徒の人間関係 ハイム・ギノット サイマル出版
心とは何か(現代心理学)         請談社


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