福島県教育センター所報ふくしま No.84(S62/1987.12) -030/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

2.追究の手だてと実践

(1)単元での具体的取り組み

 単元を「時間とともに変わる事象」にとって課題研究のテーマを設定し、課題研究のテーマの選定からまとめまでの指導計画を作成し実践した。

  1. テーマの選択決定
     まず生徒に時間とともに変わる事象をあげさせ、その中から研究課題を設定するよう熟考させた。さらに事象名や活動内容等を記入させた後、それらのすべてを全員に知らせ検討することにより、学習意欲と工業事象に対する興味関心、問題意識の向上を図ると共に、研究可能なものにしぼって、希望によりグループ分けをした。
  2. 研究方法の計画と準備
     テーマごとのグループに分かれて、各グループで話し合いをさせ、研究の見通しや実験などの計画を考えさせた。グループによっては図書室で文献や資料の収集を行わせたり、計画書の作成段階で、実験装置や器具の準備、借入や購入の手配などの検討を行わせた。このような活動を通して、問題解決へのすじ道や方法などへの見通しを立てる能力の育成を図った。

 
工業数理の単元指導計画例

  各単元(題材)での具体的取り組み
単元(題材)名 配当時間 注1

育成すべき内容

追求のてだて

期待する生徒の姿

D F G H 集団として 個人(No2,11,15,19,21,35)

として

9月中旬 時間とともに変わる事象

1.等加速度運動をする事象

4     ・具体的・実際的数値データを使って、数理的解法やモデル化を図るための手法を理解させ、意欲を喚起する。

・自転車で走行させ、実際の測定時間をもとに速度・加速度までを計算とグラフにより求めさせる。このことにより、継続、発展性を養う。

 
・数理的解法・手順の考え方が理解でき、応用ができることに喜びと満足感をいだいている。

・データを測定して発展的にまとめている。

 
興味を持って最後まで作業を行い、まとめまで理解できている。

2.時間とともに変わる事象を考える

1       ・時間とともに変わる事象を多く述べさせるとともに、課題研究として解決可能な内容や興味ある内容を考えさせ、学習への意欲をもたせる。

・身近な所から単元に合う内容の事象を楽しみながら数多く述べている。
・工業事象を問題意識をもってとらえている。

興味をもって、解決可能の内容の事象を考えている。

10月 3.課題研究

(1)テーマの選択

10(1)     ・興味のあるテーマを選びグループに分かれて、研究の見通しを立てさせる。

・工業事象の解明に興味を持っている。

・研究の見通しを立てている。

参加する内容に意欲を持ち取り組もうとする姿勢があらわれている。

(2)研究方法の計画と準備 (3)     ・テーマに沿った具体的な実験方法やデータの測定方法、内容を考えさせたり、資料や文献を図書室を利用して調べるなど、解決への見通しを立てさせる。

詳細な計画書を作成させ、的確な行動ができるようにする。

・研究方法について意見を出し合ったり、資料等を調べたりして、具体的な実験等の計画が立てられている。

・教師の指導により計画が作成でき、見通しが立てられている。
(3)データ等の測定 (2)       ・グループ作業により、計画に基づいて具体的数値データを得させたり、間接的数値データより直接数値への求めかたを調べさせる等、創意工夫をさせる。

・目標を持って測定作業等ができ、その方法が適切であったか、データが正しいか等の判断ができており、他の方法についても考えている。

教師の指導により、興味を持ちながら、データの測定や整理の方法が理解できている。
11月 (4)データの整理と数理的まとめ (3)     ・データの整理方法と数理的処理法は多様なので、課題テーマに合った方法を考えたり調べたりすることにより整理やまとめへのすじ道や見通しを立てられるようにする。

・創造性を豊かにして、創意工夫をしてまとめている。

・資料を調べて、その方法を使ったり、式を立てている。

まとめることができ、内容について理解できている。

(5)まとめと関連事象を考える

(1)     ・数理的処理によってテーマ内容をまとめてモデル化、数式化させ、理解への喜びと満足感をいだかせる。結論より関連事象へ発展させる等継続性、発展性を培う。

・まとめた結果より考察ができている。数理的手法の全体が理解できている。

・関連事象への学習へ発展している。

指導を受けた内容を、グループで楽しく発展的にまとめている。

数理的全体の過程が理解でき、学習への喜びと満足感をいだいている。

注1. D:学習への喜びと満足感 F:問題解決へのすじ道や方法等の見通し G:問題解決へ創意工夫や的確な行動 H:学習した内容の継続性発展性


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。