福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -002/038page
<所員個人研究>―(小学校学習指導・体育)
一人一人を生かすバスケットボールの指導
学習指導部 西牧 裕 司
1.はじめに一人一人の子どもが、それぞれの運動の楽しさに触れるように、興味・関心や欲求・意欲及び諸能力に応じた学習をさせなければならない。
ところで、子ども一人一人は、それぞれに個性があり、学習のテンポも異なるし、学習のリズムも違う。その中で、個性を大切にし、一人一人を生かす集団的スポーツの在り方についてバスケットボールを例に述べてみたい。2.学習過程の改善
これまでの学習過程をみると、個人練習→グループ練習→ゲームという過程がみられるがこの過程は、技能の低い子や、体育を苦手としている子の立場に立っているとは言えない。そこで、それらの子どもにとっても楽しい、ゲームそのものを追求させる過程が考えられる。まず、チームの課題をはっきりさせ、簡単なルールや技術でゲームを楽しませ、次に相手チームに応じた作戦や練習、ルール等を工夫することにより高度なゲームが楽しめるようにさせる。そのためには、ゲーム→練習→ゲームの過程が大切であると考える。3.授業の実際
【1 単元】 バスケットボール
【2 バスケットボールの特性】
(1)一般的特性
バスケットボールは、チームを編成し、手でボールを扱い、味方同志が協力して一定の方法やルールをもとに、2チームが双方入り交じって攻撃したり、防御したりして高い所に設置されている相手のゴールにシュートして、得点や勝敗を競い合う運動である。(2)子どもからみた特性
1. みんなでルールを工夫したり、パス・ドリブル・シュートなどの技術を使って、ゲームをすることが楽しい。2. 男女差や個人差が目立ってきているために、お互いの能力の違いをよく理解し、助け合ったり、教え合いがあるとゲームが盛り上がり、楽しく運動できる。
3. チームで作戦を考え、励まし合ってゲームをして勝つと楽しい。【3 学級の子どもの実態】
一人一人がどのくらいの能力なのか。運動に対してどんな欲求を持っているのかを、ジグザグドリブル、フットワーク、シュート等の技能、体育の好き嫌いやバスケットボールについて調査した。(表1、2)
※
- 壁パス、ジグザグドリブル、フットワークは5段階にわけ5〜1点とした。
- フリースロー、シュートは回数を点数とした。
- 技能の優れている子、身長の高い子、リーダーになれそうな子をそれぞれの班に入れてチームを編成した。