福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -012/038page

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重感練習は約3週間位でマスター出来るようになります。以下は、その次の温感練習の段階に進んだ場合の練習です。 (5)

T:じゃあ、今日は温感練習に入ってみよう。
では、先ず姿勢を作って。そう、次に深呼吸だったね。3〜4回どうぞ。よーし。それでは、先生の後についてきて。

「気持ちが落ち着いている……。気持ちが落ち着いている……。落ち着いている……。とても落ち着いている。(ここまで1回)
両腕両脚が重たくて、右腕が温かーい…。両腕両脚が重たくて、右腕が温かーい…。右腕が温かーい…。温かーい…。とても温かーい…。気持ちが落ち着いている……。(ここまでを5〜6回繰り返す) (6)

はい、ここで消去動作をしよう。
(前述と同じ要領)
T:どんな感じがしたかな?

C:はい。なんとなくポッとした感じがしました。

T:うーん。それは重感練習を十分にマスターしたからだね。なかなか、順調だよ。さらに、例えば、日向ぼっこしているところをイメージしたりすると温感が出やすくなるよ。やってごらん。

C:はい。やってみます。

T:この後の練習は、重感練習と同じ要領だから自分で出来るね。 (7)

C:はい。

T:じゃあ、今日はこれでね。さようなら。

C:ありがとうございました。さようなら。

※ 自律訓練法で用いる公式言語は、本によって若干異なっています。今回は、出来るだけ言いやすいものを選びましたが、自分で良いと思うもので練習してください。
(5) 自律訓練法の練習段階

背景公式「気持ちが落ち着いている」
第1公式(重感練習)「両腕両脚が重たい」
第2公式(温感練習)「両腕両脚が温かい」

 この後、第6公式までありますが省略します。詳細は後述の参考図書をご覧ください。ただ、第2公式までの練習で、自律訓練法のおよそ80%をマスターしたことになり、効果も十分に出ます。また、第3公式以降は医師の指導を要する場合もありますので、自分で練習を進めたり児童生徒に指導したりする場合には第2公式までにしておいた方が無難でしょう。

(6) 温感練習

温感練習も重感練習と同じように右腕→左腕→右脚→左脚と進めていきます。言葉は、次のように、変えて行きます。

「両腕両脚が重たい。右腕が温かくて、左腕も温かーい。」
「両腕両脚が重たい。両腕が温かくて、右脚が温かーい。」
「両腕両脚が重たくて、温かーい。」

(7) 指導の進め方

自律訓練法はあくまでも自分自身で練習を進めていくものです。ですから、最初に指導するのは練習の進め方の要領を覚えてもらうためです。要領を覚えたら、後は自分で練習をしていくようにさせてください。同じように、市販のテープを使う場合も要領を覚えるまでです。最後に、
児童生徒に自律訓練法を実施する場合、その前に指導者自身がマスターするようにしましょう。

【参考図書】
「自律訓練法の実際」 佐々木雄二著 創元社
「自律訓練法」 池見酉次郎著 誠信書房

今年度のご愛読ありがとうございました。


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