福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -013/038page
<研修者研究報告>―学校経営B講座
「思いやりの心」を育てるための学年経営
郡山市立大成小学校教諭 大竹 浩一
1.研究の趣旨
現代っ子の一番の特徴は、「思いやりに欠けていることである」と言われているが、本校においても、その傾向が少なからず見られる。本校では、学校の教育目標の一つに「思いやりのある子」をあげ、全職員で指導に取り組んできた。しかし、「思いやりの心」を育てるという観点で今までの指導を反省すると、次のような問題点があげられる。(1) 教育目標や学年目標は設定されているが、何をどう指導するかの共通理解が不十分であり、また教師間の連絡を密にした計画的で一貫性のある指導がなされていない。
(2) 目標具現のための活動状況や達成度を評価する手だてが不十分である。(3) 家庭との連携が十分でないために指導が徹底していない。
「思いやりの心」を育てるためには、教師一人一人が指導の必要性と指導のあり方をよく理解するとともに、学年としての指導体制を確立し、教師間の連携を密にした計画的で一貫性のある指導をしていく必要がある。そこで、特に(1)に視点をあてて研究に取り組みたいと考え本主題を設定した。2.見通し
「思いやり」についての考え方と行動のあり方に対して共通理解を図り、学年担任が相互に連携を密にして指導にあたり、保護者への啓蒙の仕方に工夫を加えながら、児童の実態をふまえた計画的で一貫性のある指導を続ければ、学年としてのより確かな体制も確立し、児童の「思いやりの心」も育つであろう。3.研究の対象
(1) 学年担任5名 (2) 4学年児童 196名
(3) 保護者 196名4.研究の結果と考察
(1) 学年で話し合った結果、「思いやり」を次のようにとらえた。(2) 実態調査の実施 (6月)
- 「思いやり」とは、普通、「あの人の気持ちや立場を思いやって………」というように、そこに思いやる対象となる人がいてその人に対する思いであり、対象としてのその人に対する同情とか共感をするという意味である。
- 他人の痛みがわかる、他人の気持ちが理解できるということであるので、特別な行為ではない。日常の生活においてなし得る人間らしい、ささやかな思いと小さな行為であり、自分の身のまわりにおいて日々もつべき心であり、なすべき行為である。
1. 担任教師に対する意識調査
I 最近の子供達には「思いやり」が欠けていると言われますが、あなたはどう思いますか。
II あなたは、今まで「思いやり」についてどう指導してきましたか。
ア.欠けていると思う。 3人 イ.どちらともいえない。 2人 ウ.思いやりがあると思う。 0人
ア.計画的に指導してきた 0人 イ.何かあったときには、そのつど指導してきた 5人 ウ.子供達の自主性を重んじて何も言わなかった 0人 エ.特に考えていないので、別に指導しなかった 0人