福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -025/038page
プロジェクト研究報告
学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究
―自己啓発に支えられた校内研修―
(第1年次)
学校経営部
1.はじめに本研究は、教職員の質的向上を期して、県内における「自己啓発に支えられた校内研修のあり方」を究明するため、昭和62年度から3か年計画で行うものである。本年度は、第1年次研究として、研究計画の策定と県内小・中・高等学校の研修実態を調査し、調査結果を分析・考察して、現職研修にかかわる問題点の所在と、研究課題を明確にするための調査研究を実施した。
2.本研究の基本的方向(1)「学校の経営過程における現職研修」
各校には学校の教育目標が掲げられている。この目標には、全ての学校がめざす豊かな人間形成の達成目標、及び、その学校の教育課題から生まれた実践指標が含まれていると考えられる。各校はこの目標達成のために、計画―実施―評価の経営過程を適し、全教育活動をあげてその具現に努力している。そして、その実践の原動力のひとつとして現職研修が位置づけられている。したがって、現職研修は、各校の教育目標達成をめざし、学校課題から研究主題を摘出し、研究実践を通して、その成果を直接児童・生徒にフィードバックするものであり、同時に教師自身の日々の教育実践活動の改善充実にも結びつくものであることが基本要件となろう。
また、各校における現職研修は、一般に、ア個人の研究主題による個人研修 イ 全教職員共通主題による共同研修 ウ 校内における実技研修 エ 小・中・高教研等の校外研修 オ 他校の研究公開等に参加しての校外研修 カ 校外で受けた伝達研修等が考えられるが、本研究においては、学校課題を全教職員が協働で解決する学校経営の一環として行う「校内研修」にしぼり、そのあり方を追究することにする。(2)「自己啓発に支えられた校内研修」
前年度実施した予備調査の結果、「校内研修を自己啓発に支えられた研修に改善すること」が課題として浮かびあがった。「自己啓発」は、もともと個人の意欲にかかわることであり、個人の校内研修への意識が基盤となるが、本研究では、「全員で推進する過程で自己啓発が図られ、それが相互啓発となり全体が向上していく研修」とおさえた。そして、そうした研修にするために、「各学校では現状実態をふまえて、意識態勢・組織体制づくりをどのようにし、どう企画・運営していくべきか」を研究内容として追究していくことにする。
3.研究の視点予備調査からの課題を解決するためには、校内研修推進過程で、個々の教師の自己啓発をどう図っていくかということが最も重要であると考えた。そこで、計画―実施―評価の各段階において、自己啓発に結びつくと考えられる次の要件をふまえ、そのあり方について実践的に研究を深めていくことにした。
<計画の段階>・全教職員での学校課題摘出 ・共通理解に基づく研究主題の設定 ・学校の現状や個人の特性を生かした研修組織 ・成果が累積される推進計画の樹立等
<実施の段階>・学校の現状に即した研修時間の確保 ・個人の研修意欲を喚起するリーダーのあり方 ・日々の指導に生かせる授業研究 ・協働意欲を高める雰囲気づくり
<評価の段階>