福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -026/038page
・日々の授業に結びつく研修評価 ・研修成果の活用の仕方 ・評価資料の収集・提示・活用のあり方
4.調査研究内容(1) 調査の意図と対象
・調査のねらい
県内の小・中・高等学校における校内研修に対する意識、及び推進の動向を、計画―実施―評価の各段階にわたって調査した。その中から、自己啓発にかかわる問題点や、今後の課題を明らかにし、校内研修改善充実のための資料を収集した。・調査の対象
「調査対象校」…………県内の小学校(610校)中学校(236校)、高等学校(126校)を、それぞれ規模別に分類し、各教育事務所ごと、及び、高等学校の約20%を無作為に抽出して(総数193校)対象校とした。「調査対象者」………調査対象者は教諭とし・各学校の実情を考慮して、小規模校(2名)、中規模校(4名)、大規模校(6名)を年代も配慮(20代〜50代)して抽出した。調査依頼者は総数572名であった。
(2) 調査内容及び考察・設問
校内研修推進過程における自己啓発にかかわる実態と問題点をさぐる設問(県教育センター学校経営部作成・全23問)を作成し、実施した。(内容は研究紀要第71号参照)
・考察小・中・高等学校別、及び小・中・高の比較別から、全問中最も問題と思われる実態を摘出し、グラフ表示するとともに、現状―要因―改善の方向の内容で考察した。(内容は紀要参照)
(3) まとめ(自己啓発に支えられた校内研修の現状と課題全設問回答内容を総括し、校内研修推進各段階における自己啓発にかかわる現状と課題を、下記の項目でまとめた。(内容は研究紀要第71号参照)
<計画の段階>ア 校内研修(研究)に対する必要性や実践意欲の程度はどうか。 イ 研修課題や研究主題が、全員協働・共通理解のもとに設定されているか、個人の参加意欲はどうか。 ウ 個人の希望や特性を生かした研修(研究)になっているかどうか。 エ 校内研修の時間の確保にどんな工夫・配慮がなされているか。
<実施の段階>ア 研究実践推進上における成員としての自覚・個人の意欲・参加の態度の程度はどうか。 イ 日々の指導に結びつく授業研究会になっているか、また、個人の参加意欲の程度はどうか。 ウ 協働意欲を高める配慮と個人の努力の程度はどうか。
<評価の段階>ア 各校における校内研修の評価・活用の現状と個人の意欲の程度はどうか。 イ 研修資料の収集・活用の現状と個人の意欲の程度はどうか。
5.おわりに近年、臨教審の「現職研修の充実」の提言や、国際経済開発機構教育研究開発センターの「スクールフォーカスト研修」の提唱と相まって、各学校においては「校内研修の質的充実と活性化」が注目され、努力されている。この機に、本研究が学校現場の研修推進の一助となればと願っている。
本年度の調査研究で最も努力したことは、主題に即した実態把握のための設問づくりであった。十分に検討を重ね、理論の裏づけをもって作成にあたったわけであるが、回答の際に設問の意図が伝わらない問題もあって反省させられた。しかし幸いにも、調査依頼校の絶大なるご援助とご協力により、所期の目的を達成することができた。ここにご協力いただいた各校の校長先生はじめ先生方に深い謝意を申し上げる次第である。
なお次年度は、第1年次研究のまとめ「自己啓発に支えられた校内研修の現状と課題」をもとに、その改善工夫策を講じ、研究協力校と共に研究・実践し、その内容を各校に提供したいと考えている。(担当 三津間 安宏)