福島県教育センター所報ふくしま No.86(S63/1988.6) -007/038page
した情報の内容と価値をもとに,情報提供という表現へ関連づけて指導するところにそのねらいがあると考える。
(2)<理解領域の指導事項> 理解ケ,コ
・文章構成の応用に関する事項
学年 理解の方向←←文章構成の能力→→表現の方向 3年 内容を理解するため 内容の整理 自分の表現にも役立てるため 4年 内容を正しく理解するため
内容を理解するため段落ごとの要約
段落相互の関係
中心的事柄と他の事柄自分の表現の仕方に役立てるため
自分が文章を書くときに役立てるため5年 内容を的確に理解するため 文章全体の組み立て 自分の表現の仕方に役立てるため 6年 書き手の意図を知るため 簡潔な叙述,詳細な叙述 自分が文章を書くときに役立てるため これは,読んだ文章から「文章構成の能力」を育成するとともに,その能力が文章内容の理解を助け,自分の表現に役立てることを目指している
・表現への応用に関する事項
学年 理解から→→→→→→→→→→→表現へ 3年 表現の優れている箇所に気付き 自分が表現するときにも応用する 4年 表現の優れている文章を複写し 自分が書く文章にも取り入れる 5年 表現の優れている文章を複写して理解・鑑賞を深め 自分の表現にも生かす 6年 書き手が工夫している表現の仕方を考え 自分が文章を書くときに役立てる 理解の過程でとらえた「優れた表現」を自分の表現に取り入れ,応用するように示している。以上三つの指導事項は,情報の認識から情報の提供へ能力的関連を図るねらいをもつものである。
4.鋭明文の教材研究の実際
教材としての説明文が,すべて理解から表現へ向けて指導されるわけではない。関連させて指導を進めるためには教材選択について詳しく吟味する必要がある。ここでは,児童の生活体験や学習体験に照らして認識を高めるような価値と内容を備え,知識欲,表現欲を刺激されるような説明文という観点で次の教材を選んだ。
− M社61年度版4年下「体を守る皮ふ」−
表現と理解に関連する能力の構造化,理解教材と表現題材の両面からの教材研究,児童の学ぶ意欲と教材との関わり(関連部分),指導計画について考えてみたい。
(1) 理解と表現に関する能力構造と理解教材・表現教材としての内容価値について<ついて
これは,理解教材としての価値と内容を的確に認識した上で,表現題材としての価値をとらえるという考えに基づくものである。
(2) 書き手の表現過程をたどっての教材研究
情報の認識という点だけから言えば.そのための教材研究はすでにいく度となく繰り返されてきた。しかし,児童を情報提供者の立場に立たせることをねらった教材研究は,まだ課題として残されている。そこで,この教材の内容とそれに対する児童の認識の過程を想定しながら文章の研究に取り組んでみた。紙面の都合上一部割愛するが,特に筆者の感想である最後の文に着目し,それまで読み取ってきた内容と読み手の意識を,表現する題材と情報提供者への意識へ振り向けさせるように考えた。指導事項の表現クに該当する。